集団的自衛権の行使を可能にした安全保障法制は憲法違反だとして、被爆者や被爆二世などが国に損害賠償を求めた裁判で最高裁は被爆者などの上告を退けました。

新安保法制違憲長崎訴訟 福崎龍馬 弁護士(※:「崎」は「たつさき」)
「今回の最高裁の判断は憲法の基本原理を侵害し続ける政府の暴走に迎合し、司法としての役割を放棄するものと言わざるを得ない」

長崎の被爆者や被爆二世などは、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制は憲法違反で平和的生存権などを侵害されたとして、国に1人10万円の損害賠償を求めていました。

一審、二審ともに憲法判断は示されないまま、請求は棄却され、最高裁は4月10日付けで訴えを退けました。

原告団長 被爆者 川野浩一さん
「率直に言って、がっかりした」

長崎原爆被災者協議会 田中重光 会長
「戦争をできる国づくり、そういったものがどんどん成立している中で、最高裁は何を見ているのかと」

今回の決定には裁判官の1人の「反対意見」もありました。

事務局長 森永正之 弁護士
「敵基地攻撃能力などを閣議決定でやっていいのかなと、最近、武器の輸出の件など色々ありますけど、これ(安保法制)を契機に、どんどん国が変わってきたと我々は思っている」「我々としては実質論に入ってもらって、ちゃんと判断して違憲だと判断してほしかった」

原告団は5月に集会を開いて今後の方針などについて話し合う予定です。