国会議事堂

自民党は12日の政治刷新本部の会合で、派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けた政治資金規正法改正などの政治改革について議論した。全国会議員が参加できる「平場」形式で開かれたにも関わらず、発言者は18人にとどまった。主要政党の中で唯一、法改正の独自案を示さない方針も示し、改革への熱量の低さを露呈した。

「これから公明党との協議も控えている。今日は意見を承り、しっかり反映していきたい」

法整備に関する作業部会座長を務める鈴木馨祐衆院議員は会合冒頭、こうあいさつした。

岸田文雄首相(自民総裁)は法改正の論点として、議員本人も含めた厳罰化▽収入の監査徹底▽デジタル化による政治資金の透明性向上―の3点を挙げている。

自民党政治刷新本部に設置された作業部会の会合であいさつする鈴木馨祐座長(奥左から2人目)=12日午後、東京・永田町

出席者によると、会合では会計責任者だけでなく議員にも責任が及ぶ「連座制」の導入や、外国人による政治資金パーティー券の購入禁止を求める意見が出た。元会計責任者が立件された岸田派(宏池会)を巡り、首相の責任を追及する声も上がったという。

ただ、この日は出席者が少なく、発言が早々に途切れたため、当初の予定時刻よりも前倒しで会合は終了。渡海紀三朗政調会長は記者団を前に「もうちょっと熱量があってもいいのではないか」と苦言を呈した。

自民案を示さない議論の進め方にも異論が出ている。鈴木氏は「党として(改革案を)取りまとめることは今の時点では検討していない」と表明。来週前半にも行う自公協議を経て、大型連休前に「与党案」を示すことが濃厚となっている。

自民案の作成を見送った背景には、野党から踏み込み不足と批判されることへの危惧がある。4月末の衆院3補欠選挙での争点化を避ける狙いも透けて見えるが、党内では「なぜ独自案を示さないのか理解できない」(閣僚経験者)との不満が少なくない。

首相としては規制法の改正によって反転攻勢につなげたいところだが、自民の消極姿勢が障壁となりかねない。党幹部は「本来はわれわれが議論をリードしなければいけないのだが…。これでは国民に見透かされてしまう」と嘆いた。(竹之内秀介)