松本城鉄砲隊による「古式砲術演武」が26日、長野県諏訪市の市民祭り・高島城祭で披露された。ほら貝が鳴り響く中、戦装束のよろいかぶとを着けた鉄砲隊員らが火縄銃を構え、「放て!」の号令で一斉に空砲を撃った。観衆は、会場に響くごう音と、もうもうと上がる白煙の迫力を楽しんだ。
松本城鉄砲隊は市民有志が1990年に結成。江戸時代後期に松本城で行われた火縄銃砲術の復元・伝承に努める。
隊長の西堀恒司さん(75)=松本市=によると、幕末の1864(元治1)年11月20日、中山道の和田峠に近い樋橋(とよはし)(今の下諏訪町)で、高島藩(今の諏訪市など)と松本藩(今の松本市など)が連合軍として戦った和田嶺合戦(樋橋戦争)があった。京を目指し進軍してきた尊王討幕隊の水戸浪士一行(水戸天狗党)を、幕府の命令で阻止しようとした連合軍が迎え撃ち、浪士隊の勝利に終わった戦いで、西堀さんは「火縄銃での合戦もあり、双方で数十人の死傷者が出たとされる」と説明。「高島、松本の両藩が協同して戦った故事をしのび演武を行った。高島城前で行うことに意味があると思う」と話した。
砲術演武は祭りの人気イベント。江戸時代後期の火縄銃を使い、銃口から火薬を詰める銃の仕組みや火縄による点火、撃ち方、射撃姿勢などの解説を聞きながら観覧できる。
「ズドン、ダーン」。この日も、大きな銃声が響き白煙が上がるたび「おおおおー」「すごい」と歓声が上がった。友人と見学した諏訪市の中学3年生、高橋結月さん(14)は「撃つ大きな音にびっくりしたが、日本の伝統文化に触れられてとても良かった」と話した。【宮坂一則】
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