岐阜市日ノ出町の映画館「ロイヤル劇場」で7月6日から2週間、県内屈指の繁華街・柳ケ瀬を舞台にした1967年の映画「柳ケ瀬ブルース」が上映される。映画館へ貸し出す上映用のフィルムが残っておらず、幻の映画となっていた。今回、劣化が著しかった原版を修復。新たに上映用に焼き付けられ、約57年ぶりによみがえった。
47年前に開業したロイヤル劇場を運営する「岐阜土地興業」が今年、創業100周年を迎えるのを記念して企画。映画の配給元の東映が、劣化した原版を保管しており、岐阜土地興業が資金を投じ、修復した。
同映画館では15年前から「昭和名作シネマ上映会」を続けており、同社取締役の磯谷貴彦さんは「柳ケ瀬ブルースの上映は開館当初からの悲願だった」と振り返る。
映画「柳ケ瀬ブルース」は67年に全国の映画館で上映された。当時、一世を風靡(ふうび)した歌手の美川憲一さんの歌謡曲「柳ケ瀬ブルース」をモチーフにした作品で、村山新治監督がメガホンを取った。
主役は梅宮辰夫さんが務め、野川由美子さん、大原麗子さん、浦辺粂子さん、伴淳三郎さんらが出演。美川さんも流しの歌手役として歌声を披露している。
「古き良き柳ケ瀬の街を見て」
県内各地でロケがあり、活気がある柳ケ瀬商店街のほか、長良川鵜飼や岐阜城、金華山ロープウェー、旧市役所、新幹線の岐阜羽島駅など、懐かしい当時の風景が随所に映し出される。
今月16日、編集作業が終わり、関係者を招いてフィルムテストを兼ねた試写会があった。柳ケ瀬にあった懐かしい店舗のネオンサインなどが映し出されると、館内から「ウォー」という声が漏れていた。
初めて作品を見た磯谷さんは「にぎやかだった当時の柳ケ瀬がたくさん映っていて、期待以上の作品だった。古き良き柳ケ瀬のエネルギッシュな街の様子をたくさんの人に見てほしい」と話す。
7月7日午後3時40分ごろから、美川さんの舞台あいさつも予定されている。上映は同月19日まで。(松永佳伸)
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