日本三大祭りの一つで、京都の夏を彩る「祇園祭」が来月から始まります。

その祭りのハイライト「山鉾巡行」で設置されるプレミアム観覧席を巡り、八坂神社のトップである宮司が「ショーではない」と苦言を呈す事態となっています。

7月1日から始まる「祇園祭」に向け、開かれた20日の会見。

【八坂神社 野村明義 宮司】「先人が受け継いできた1000年以上続くお祭り。ことしもそれができるというありがたさを持って、取り組んでいきたい」

京都の夏を彩る「祇園祭」は、八坂神社の祭礼で、1000年以上前に疫病を鎮めるために始まったとされます。

なかでも、豪華絢爛な山や鉾が都大路を練り歩く「山鉾巡行」は祇園祭の最大の見せ場で、例年、10万人を超える見物客が訪れます。

■プレミアム観覧席のお酒のふるまいに八坂神社の宮司が反対

そんな「山鉾巡行」を特等席で鑑賞してもらおうと、京都市観光協会が昨年から始めたのが「プレミアム観覧席」です。

畳の上には、座椅子、そして暑さをしのげるパラソルも設けられ、利用客はお酒などのドリンクやおばんざいを楽しみながら山鉾巡行を鑑賞することができます。

昨年は、1席40万円ながらもおよそ8割の席が売れました。ことしは、最高価格を20万円におさえて、60席が販売されています。

しかし、このプレミアム観覧席について、祇園祭を執り行う八坂神社のトップ、野村宮司は、昨年から反対していたといいます。

【八坂神社 野村宮司】「神事にお酒はつきものだが、神様を感じ取っていただけるありがたいお酒ならいいが、ショーを見るような形でのお酒のふるまいはいかがなものか」

■京都市観光協会に理事の辞任の意向を伝える事態にまで発展

プレミアム観覧席を販売する京都市観光協会の理事も務める、野村宮司。

このままでは、食事や酒を伴う鑑賞の仕方を推奨していると受け取られかねないと、6月上旬、協会側に辞任の意向を伝える事態にまで発展していました。

【八坂神社 野村宮司】「観光協会とは祭りの意味とかやり方について、お互いに話し合いの場が持てた。今後いい祇園祭にしたいということで、意見は一致したので、私も理事退任を取り下げた」

また、京都市観光協会も「神社側に説明をできておらず、大いに反省している」と述べ、ことしのプレミアム観覧席では、熱中症対策の冷たいドリンクのみを提供。酒や食事の提供はしないということです。

「プレミアム観覧席」が設置される前祭の山鉾巡行は、7月17日に行われます。

■2023年のプレミアム観覧席との違いとは

【菊地幸夫弁護士】「高い席を設けても需要があるっていうのは、それだけ日本の文化は外国人の方などからみると、素晴らしい内容なんだろうなと思いますね。日本を感じていただく一つの方法じゃないのかなと思います」

【谷元アナウンサー】「今年は内容が見直されるということになります。昨年は1席40万円でした。京のおばんざい、それからのお酒の提供もあって、音声解説もありました。今年は、1席が最高で20万円ですから、半額になっています。音声解説も変わらずありますが、酒類などの提供はなく、冷たいソフトドリンクのみ提供をするということです」

【関西テレビ・神崎博報道デスク】「観光協会は、警備とか費用がいっぱいかかるので、なんとか回収したいと思いがあって、インバウンドの外国人だったら、多少お金を払ってくれるだろうというところで、お酒とおばんざいを提供して、40万円の席を設けたんですけれども、神事なので、お酒を飲んで、ものを食べながら見るのはどうかなっていう意見も理解できるので、ことしは減額してソフトドリンクにしました。20万円でちょっと高い気もしますけど、外国の方からしたらこんな場所で見えやすいと思う人もいるかもしれませんし、この落としどころになったのかなと思います」

(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月20日放送)

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