第49期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は20日、余正麒(よ・せいき)八段が関航太郎九段を破って6戦全勝とし、首位の一力遼棋聖と同星で並び立った。次戦は7月11日。名人初挑戦に向けて、その一力との全勝決戦に臨む。挑戦者レースは最大のヤマ場を迎える。
余の勝利により、前挑戦者の井山裕太王座=4勝2敗=の挑戦の目はなくなり、挑戦権のゆくえは一力と余のふたりに絞られた。
余は中盤、関に中原の制空権を支配するAI推奨の好手を放たれ、苦戦を悟った。直後に相手の中央のラインを強引に分断する勝負手を敢行したが、AIは評価せず、評価値は一けたの6%台に落ちた。「落ちるだろうなと思いました。でも何かしなければチャンスはない」と局後の余。結果として関の対応を誤らせ、逆転に成功。局勢は余に傾き、その後も最強手を放って関の粘りを許さず、一気に勝負を決めた。
初リーグの関は1勝5敗となり、リーグ落ちが決定。どの敗局も相手をぐらつかせるパンチを見せながら、一歩及ばなかった。リーグ陥落4枠のうち、関と張栩九段=1勝5敗=、志田達哉八段=0勝7敗=の3人の陥落が確定し、残るは1枠。優勝争いを演じている一力、余を除く4人(井山=4勝2敗、許家元九段=4勝3敗、山下敬吾九段、富士田明彦七段=いずれも3勝3敗)のうち1人が陥落する。
6月ラウンドは全局終了し、7月のセミファイナルラウンドの日程と組み合わせは4日=井山VS.富士田▽8日=山下VS.関▽11日=一力VS.余▽15日=許VS.張。ファイナルラウンドは22日に一斉に打たれ、一力VS.富士田▽余VS.山下▽井山VS.関▽張VS.志田のカードが組まれている。(大出公二)
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