文化審議会は24日、旧石器・縄文時代の洞窟遺跡「福井洞窟」(長崎県佐世保市)を特別史跡に指定するよう、文部科学相に答申した。旧石器時代の遺跡が特別史跡になるのは初めて。関東地方最大級の縄文集落跡「デーノタメ遺跡」(埼玉県北本市)など10件の史跡指定も求めた。

 福井洞窟は、1935年に発見された砂岩洞窟にある遺跡。1万9千年前(旧石器時代)~1万年前(縄文時代早期)の15層におよぶ土の堆積(たいせき)から、石器の変遷や土器の現れる過程が全国で初めて明らかにされた。近年の発掘調査でも4基の炉跡が見つかり、洞窟が生活の拠点だったこともわかった。旧石器~縄文時代の移行期の生活の様子を具体的に示し、縄文文化の起源に関する価値は極めて高いと評価された。

 指定されれば、5900~4200年前の縄文遺跡「三内丸山遺跡」(青森市)を大幅にさかのぼる、国内最古の特別史跡となる。

 デーノタメ遺跡は、長径210メートルの楕円(だえん)形の範囲に多くの竪穴建物跡が広がる縄文時代の環状集落跡。昨年10月に文化庁が作成した42遺跡の「指定相当の埋蔵文化財」リストに含まれており、リストから同遺跡など6件が新指定、1件が追加指定される。

 同審議会は、名勝2件の指定、重要文化的景観1件の選定も答申した。1970年の大阪万博で整備され、25ヘクタールの広大な敷地に平安~現代の4時代の特徴を表す庭園が広がる「日本万国博覧会記念公園日本庭園」(大阪府吹田市)など3件を登録記念物にすることも求めた。ほかは次の通り。

 【史跡】黒山の昔穴(むかしあな)遺跡(岩手県九戸村)▽西方城跡(栃木県栃木市)▽上野(こうずけ)国分尼寺跡(群馬県高崎市)▽坊の塚古墳(岐阜県各務原市)▽東氏館(とうしやかた)跡及び篠脇城跡(岐阜県郡上市)▽高尾山古墳(静岡県沼津市)▽物集女(もずめ)城跡(京都府向日市)▽平城(ひらじょう)貝塚(愛媛県愛南町)▽六郷山(大分県国東市・豊後高田市)【名勝】鳥潟会館庭園(秋田県大館市)▽西氏庭園(金沢市)【登録記念物】菊池海荘宅跡(和歌山県湯浅町)▽会津東山温泉向瀧(むかいたき)庭園(福島県会津若松市)【重要文化的景観】大谷(おおや)の奇岩群と採石産業の文化的景観(宇都宮市)(筒井次郎)

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