日本古来の製鉄技術「たたら」を今に伝える島根県奥出雲町の日刀保たたらで、“村下”と呼ばれる現場責任者を約40年にわたって務めた木原明さんが亡くなった事がわかりました。88歳でした。
木原さんが携わった「たたら」製鉄は、日本古来の製鉄技術で、生産する玉鋼は、日本刀などの材料には欠かせない鉄でした。しかし近代製鉄に押されて廃れてしまった中、1977年になって、全国の刀鍛冶に良質な玉鋼を供給する目的で、日本美術刀剣保存協会・日刀保が奥出雲町で復活させるプロジェクトを立ち上げ、木原さんはその最初から現場スタッフとして携わりました。そして「たたら」では、現場の最高責任者にあたる“村下”に就任し、「たたら」の炎を燃やし続けました。
木原さんは、「たたら」で作る玉鋼について“村下”としてその思いを語っていました。
「(玉鋼は)千年の間、蓄積された伝統技術でないと、今のところは、現代技術をもってしても継ぐことは難しい」
その後、現代の名工や叙勲を受けるなど約40年間、名実ともに「たたら」の第一人者として活躍しました。
加えて、村下養成員と呼ばれる後継者の育成に尽力した他、地元・奥出雲町の子供たちへの普及活動など「たたら」を次の世代につなぐ役割も果たしていました。
木原さんは、22日午後、奥出雲町内の病院で亡くなりました。88歳でした。
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