無垢(むく)材を立体的にひねりあげる「曲げ木」を専門とする国内唯一の家具メーカー「秋田木工」(秋田県湯沢市)が、秋田新幹線こまちの座席生地を座面に使用し、曲げ木技術と融合させた限定版スツール(椅子)を発売した。木の温かみと曲線美が感じられ、黄金色の座面の生地が豊作の米どころをイメージさせる。
1910(明治43)年に前身の「秋田曲木製作所」として創業した秋田木工。国産ブナなどの無垢材を天日干しで乾燥させてから蒸し、鉄型に合わせて曲げる製法を一貫して手がけてきた。
工場では2人1組で曲げ木加工が施される。専用の蒸気窯で数時間蒸された無垢材が、型に合わせてわずか5分ほどで仕上げられていく。曲げられた木は再度乾燥させると可塑性によって形が固定され、強度が増すため、細くても丈夫なのだという。鉄型作りから、曲げ加工、削りや研磨、塗装、座面張りなど工場内でほぼ全ての工程が完結する。
今回販売しているスツールは、乳酸菌飲料「ヤクルト」の容器を手がけたインテリアデザイナーの剣持勇氏によるデザインで、57年から作り続けられている秋田木工の代表作「スタッキングスツールNo.202」の限定版だ。
累計販売数125万脚のロングセラーの座面に、秋田新幹線こまちE6系普通車の座席生地を使っている。1脚2・3キロと軽くコンパクトだが、座面は広く座りやすい。重ねて収納できるのも特徴だ。
7月31日までクラウドファンディング(https://timeline-media.jp/projects/101)で販売中。脚の色がブラウン、ホワイト、ナチュラルの3種類あり、定価は1脚3万600円。発送の時期によって、20%引きの超早割や10%引きの早割などもある。
風巻穣社長(59)は「国内の里山や国有林に立っていた、自分たちが見たことがあるかもしれない木を使っていることに敬意を表して作っている。これからも色あせない『本物』を届け続けたい」と話している。【高橋宗男】
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