奈良市の富雄丸山古墳で出土した長大な蛇行剣や類例のない盾形銅鏡を保存・公開する新たな施設の構想が、市の教育委員会から発表された。

 「市文化財センター(仮称)」として古墳の周辺に整備される予定で、2028年度から段階的に供用を開始する見通しという。

 新センターは、現在の市埋蔵文化財調査センター(奈良市大安寺西2丁目)と、市史料保存館(同市脇戸町)を統合したものになる予定。現センターは旧館が1983年、新館が99年に完成し、史料保存館も92年の開館で、老朽化や展示室の狭さが課題になっていた。

 新センターは市内の文化財調査の拠点となり、遺跡の出土品や古文書などの歴史資料を整理保存、研究して展示する。

 延べ床面積は6千平方メートル以上を想定。現センターと比較して、収蔵庫の広さは1.5倍、準備室も含めた展示室の広さは約5倍に。車いすでも利用しやすいユニバーサルデザインを採り入れ、休憩や交流のためのスペースも設けられる。

 整備予定地は富雄丸山古墳や、奈良県が今年度中の開業を目指して整備を進める道の駅「クロスウェイなかまち」(同市中町)の隣接地で検討している。同古墳のガイダンス施設の役割も担う。出土した蛇行剣や盾形銅鏡については、重要文化財の展示も可能な特別展示室を用意し、実物を公開する方針だ。

 基本構想は奈良市のホームページ(https://www.city.nara.lg.jp/site/bunkazai/205507.html)で公表している。(今井邦彦)

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