名古屋市で1日に指された第95期棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)の第3局で挑戦者の山崎隆之八段(43)を破り、5連覇を果たして史上最年少で永世称号資格を獲得した藤井聡太棋聖(21)は感想戦終了後、記者会見に臨んだ。「永世棋聖」と揮毫(きごう)した色紙を掲げた藤井棋聖は「すぐに(永世棋聖を)名乗るものでないので、実感はそれほどないが、永世称号は時代を築いた棋士の方が取られるイメージがあったので、うれしく思うとともに、長期間にわたって活躍していけるように取り組んでいかないといけない」と、控えめに喜びを語った。
藤井棋聖は2020年7月に初タイトルの棋聖を獲得し、一度も失冠することなく5連覇で永世棋聖の資格を獲得。名人など他のタイトルも次々獲得し、23年10月には前人未到の全8タイトル制覇を達成したが、この4年間を「タイトル戦に出るようになってから、喜びと重みを感じることがたくさんあったし、盤上、盤外のどちらでもいろいろな経験ができた」と振り返った。
永世称号の就位は原則として引退後とされている。「藤井棋聖はまだ21歳11カ月。いつから名乗るかイメージがあるか」という質問には、「全く考えていないが、これまで現役で永世称号を名乗られた方も還暦を超えてからというケースがほとんどだと思う。そこまで行けるか分からないが、長きにわたって活躍できるように頑張りたい」と笑顔を見せながら答えた。
また、棋聖戦第3局の前夜祭には元横綱武蔵丸の武蔵川親方も激励に訪れた。将棋を相撲に例えて、「どんな取り口で取りたいと考えているか」という質問に、「(相撲は)組んでも組まなくても強いのが一番。将棋においてもどんな形でも対応していける力をつけるのが大きな目標かなと思います」と当意即妙に答えた。【新土居仁昌】
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