90歳のアマチュア写真家、芦田英次さん=京都市西京区=が、能登半島地震の被災地を撮影した写真展「無惨(むざん)やな」を、7月10日から京都文化博物館(同市中京区)で開く。16日まで。
火災で焼けた輪島朝市や倒壊したり津波の被害を受けたりした建物など、今年3~6月に計4回現地を訪ねて撮影した写真約50点を展示する。
芦田さんはこれまで、主にアフリカやネパールなど海外の少数民族の暮らしにレンズを向けてきた。2016年には、エチオピアのスルマ族などを追った作品「『野生魂』最後の記録」で、アマチュア写真家の優れた作品に贈られる「土門拳文化賞」を受賞した。
能登半島には、祭りや波の花の撮影、観光などで何度も足を運んでおり、地震にショックを受けた。自分の目で見たいと考え、被災地も少し落ち着いてきたように思えた3月、輪島市や珠洲市を目指したが、七尾市から先に進めず引き返した。
現地入りを諦めかけていた4月下旬、テレビのニュースで輪島朝市に復興を願うこいのぼりが掲げられた映像が流れた。「ようやく復興が始まった」と翌日の早朝に京都を出発し、鉄道やタクシーを使って午後、「目を覆わんばかりの悲惨な光景の」輪島朝市に立った。
写真撮影をしていた時、物がぶつかる大きな音が聞こえて見ると、がれきの中で物を動かす男性の姿が。レストランの店主で、被災当時の話をしてくれた。「人の災難に90歳の自分が何をすべきか考えた結果、この惨状を写真で伝えて義援金を集めることにした」
写真展では募金箱を置いて、「輪島市本町商店街振興組合」に届けるという。15日午後2時からは、芦田さんによるギャラリートークもある。入場無料。(筋野健太)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。