京都市伏見区の桂川西岸で、江戸時代前期の川船が形や構造がわかる状態で見つかった。市埋蔵文化財研究所が4日、発表した。板材を組み合わせた川船は、当時は解体されてリサイクルされることが多く、全体の構造がわかる出土は国内初。和船の発達や地域性を解明する貴重な手がかりになるという。

 川船は6艘(そう)見つかり、最長7・4メートル。護岸工事の土留めとして使われ、底板や舷側板などが釘でつながった状態だった。通常、高価な釘は分別して再利用されるが、現地は1623年に京都警衛の拠点として築かれた淀城に近く、水運業の拠点で多数の川船が存在していたため、土木資材に転用するぜいたくな使い方ができたらしい。

 底板と舷側板をつなぐ部分には、オモキと呼ばれる丸太をくりぬいた部材があった。日本海沿岸に多い造船技術で、甲南大学の出口晶子教授(船の民俗学)は「江戸前期の桂川に、オモキを使う技術があることが初めて確認できた。近現代の船造りにもつながり、日本列島の和船の発達史解明の手がかりの一つになる」と話している。

 調査は河川改修に伴い、昨年11月から今年5月に実施された。現地はすでに埋め戻されている。(才本淳子)

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