棋士編入試験を受験することを明らかにし、報道陣の質問に答える西山朋佳白玲=東京都渋谷区の将棋会館で2024年7月4日、丸山進撮影

 将棋の西山朋佳白玲(29)は4日午前、東京都渋谷区の将棋会館で指された第18回朝日杯将棋オープン戦1次予選で阿部光瑠七段(29)に106手で勝ち、棋士編入試験の受験資格を獲得した。西山白玲は受験する意向を表明し、「積極的な選択をしようかなと思った。自分にとっての大勝負という気持ちで指すことになる」と決意を語った。女性では2022年に受験した福間香奈清麗(32)に次いで2人目。合格すれば史上初の「女性棋士」が誕生する。

 西山白玲は10年に棋士養成機関の奨励会に入り、16年度前期から三段リーグに参加。2位以内に入ると棋士になれるリーグで19年度後期に3位となり、棋士にあと一歩届かなかった。20年度後期を最後に退会して女流棋士となり、現在は女流タイトル八つのうち三つを保持している。

 編入試験を受験するには、女流棋士とは別の制度の「棋士」も参加する公式戦で、直近で10勝以上、かつ勝率6割5分以上の成績が必要。西山白玲は午前の対局に勝って13勝7敗となって条件をクリアした。午後にも対局があったが、昼食後に決断し、午後の対局が始まる前に日本将棋連盟に受験の意向を伝えたという。

 西山白玲は「編入試験を受けたいという思いより、普段当たれない人、初手合の人との対局を新鮮な気持ちで楽しんでこなしていた。対局は幸運なものが多く、試験の資格を満たす成績を挙げたのも不思議な感覚だ」と対局を振り返った。

 1カ月以内に正式な受験手続きを取り、受理された翌々月から1カ月に1局ペースで試験対局が行われる。棋士になって日が浅い順に5人の新人棋士が試験官となり、全5局を勝ち越せば合格。25年4月1日付で四段となり、フリークラスに編入される。

 これまで今泉健司五段(51)、折田翔吾五段(34)、小山怜央四段(31)がいずれも3勝1敗で合格している。22年に女性で初めて受験した福間香奈清麗(32)は3連敗で不合格だった。【丸山進】

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