小学生にクラシック音楽の魅力を伝える特別授業「未来を奏でる教室」で児童に語りかける三枝成彰さん=宇都宮市上田原町の市立田原小学校で2024年7月4日午前10時46分、小林祥晃撮影

 オペラから映画音楽・テレビ音楽まで幅広く手掛ける作曲家で文化功労者の三枝成彰さん(81)が4日、宇都宮市上田原町の市立田原小学校で、クラシック音楽の魅力を伝える特別授業を行った。三枝さんは参加した5、6年生約60人に自身の音楽家としての歩みなども率直に語り、「才能はなくても、続けていれば天才になれる。何かになりたいと思ったらやり続けてほしい」と励まし、拍手を受けた。

 授業では、ビバルディの「四季」やベートーベンの「交響曲第9番」といったなじみのある名曲から、荒々しい不協和音が特徴のストラビンスキー「春の祭典」、シェーンベルク、ジョン・ケージなどの前衛的な現代音楽まで、時代順に紹介し「クラシックは時代と共に変化する」と強調した。また、強いメッセージの込められた音楽の代表例として「世界に一つだけの花」を取り上げ、「人は一人一人違っていい、誰を好きになってもいいんだと言っている。すばらしい歌だと思う」などと語った。

 高度な内容ながら、真剣な語り口に児童らも引き込まれ、約2時間の授業の最後には「先生の好きな作曲家は」「作曲家になるまでに大変だったことは」などと目を輝かせて質問した。三枝さんは「好きな作曲家は自分。一年中、作曲のことを考えなくてはいけないことが一番大変だ」などと答えていた。6年生の山口沙穂さんは「成彰先生の説明は分かりやすかった。いいなと思った曲も、不思議な曲もあって勉強になった」と話していた。

 特別授業は「未来を奏でる教室」と題し、明治安田生命が社会貢献の一環で2009年から実施。全国を巡回しており、栃木県内での開催は3回目。【小林祥晃】

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