越前市内の、ある寺のお堂にグランドピアノが置かれています。お寺とピアノ…なんだか不思議な組み合わせですが、実は、元日に発生した能登半島地震で被災した家から引き取ったものです。そのいきさつや理由について、取材しました。
     
福山千奈アナウンサー:
「越前市にある龍泉寺というお寺に来ています。お堂に入ると大きなグランドピアノがあります。実はこのピアノ、不思議なご縁があってこの龍泉寺に辿りついたということです」
 
力強くも繊細な美しい音色を奏でるピアノ。しかし、つい先日まではこの音色を聞くことは出来ませんでした。
 
今から半年前、元日に発生した能登半島地震で、石川県全体で全壊が8072件、半壊が16808件など甚大な被害に見舞われました。使えなくなった家財道具や電化製品などの災害廃棄物の量は、2月末までで約240万トンと、石川県で排出される年間の一般ごみの量、37.2万トンと比べると、約7年分にあたります。
 
実は、龍泉寺に置かれているピアノも、全壊した家から運び出され処分される寸前でした。ボランティアで被災した楽器を引き取る活動に取り組んでいる、富山県の楽器店の店主に引き取られ、越前市の龍泉寺にたどり着いたというわけです。
 
「ピアノはここにずっと置いておくので、弾きたいという人がいれば是非使ってほしい」と語るのは、龍泉寺の住職・山口雪泥さんです。
 
山口さんは大学生の時にピアノを専攻していて、大学時代の先輩の声楽家が、ピアノを引き取った富山の楽器店と知り合いだった縁で「ピアノを引き取ってもらえないか」と頼まれ、応じることにしました。山口さんは「能登半島地震の1日も早い復興を祈りたい」と話します。
 
能登半島地震の復興を祈願し、山口さんはミニコンサートを企画しました。その演奏を担当するのは、小さいころからこのお寺に通っている松沢ひまりさんです。能登半島地震の復興を祈って、自らミニコンサートの出演に立候補しました。
 
演奏する楽曲は葉加瀬太郎さんの「ひまわり」です。被災があった能登半島にも綺麗な花が咲いてほしいという想いで、この楽曲を選んだということです。ひまりさんは「きれいな音色を色んな人に伝えたいと思う」と話します。

コンサートは7月7日の11時半から、龍泉寺本堂で開催されます。

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