世界の宗教指導者が集まり、AI(人工知能)の利用や開発に倫理的な取り組みを求める提言への署名式が10日、広島市の平和記念公園であった。
ローマ教皇庁(バチカン)の生命アカデミーや、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会などの共催。提言は教皇庁が2020年に発表し、世界各地の宗教機関などに賛同を呼びかけている。
広島は1945年に当時の最先端技術だった原爆が兵器として使用された場所。急速に発達するAI技術が平和のために活用されることを願い、署名地に選ばれた。
この日は、世界仏教徒連盟やWCRP日本委員会、立正佼成会など11宗教機関と2大学の計16人が原爆ドームを背に署名。AIの開発に対して「透明性」「包摂性」「公平性」などを求めた。WCRP日本委員会の杉谷義純会長は、AI技術と兵器が結びつき、非人道的な軍事行為がなされていると指摘し、「多くの宗教に共通して歴史的に語り継がれてきた信念に照らして、AI活用に倫理・道徳的な観点が十分に反映されるように求めていく」と話した。
署名式は、市内で9、10日に開かれた国際会合「平和のためのAI倫理」の一環。会合では、13カ国の宗教指導者や専門家らによる議論があり、IBM、Cisco、マイクロソフトなど巨大IT企業の幹部も参加した。(西田健作)
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