兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催中の展覧会「描く人、安彦良和」(毎日新聞社など主催)に、人気漫画「北斗の拳」の作画を担当する原哲夫さんが来訪した。アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインなどで知られるアニメーターで漫画家の安彦良和さんに「プロになってから影響を受けた」という原さん。安彦さんの歩みをたどる作品に接し「深淵(しんえん)の美がある」と賛辞を贈った。
累計発行部数が世界で1億部を超える「北斗の拳」は1983年、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まった。原さんは同年、安彦さんが劇場アニメの初監督を務めた「クラッシャージョウ」(83年)のデザインに感銘を受け、画集を購入して「ぼかし」の技術を学んだという。
展示を丹念に見て回った原さんは「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編」のポスター用イラスト原画について「キャラクターのバランスが絶妙に計算されている」と指摘。「少し緑がかった青色がかっこいい。この色遣いをマネしたかったけれど、できなかった」と感嘆した。
また、漫画家としての安彦さんのテクニックを「映画的にアクションを描いている」と分析し、「狭い空間で奥行きを出しているが、センスや才能が問われる技術。相当な腕がないとこう描けない」と語った。
最後に、原さんは同展のメッセージボードに「機動戦士ガンダム」の主人公アムロ・レイを描いた。内気でごく普通の少年アムロも、原さんの手にかかると首回りの太い屈強な「漢(おとこ)」に。完成した絵に、原さんも「やっぱり(『北斗の拳』の主人公の)ケンシロウになっちゃうね」と笑っていた。
9月1日まで。兵庫県立美術館では「北斗の拳」連載当時の原画などを展示する「北斗の拳40周年大原画展~愛をとりもどせ‼~」も同日まで開催。問い合わせは同館(078・262・1011)。【谷口豪】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。