鳥取城北高校の作品=愛媛県四国中央市で2024年7月28日、山中宏之撮影
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 書道部員が音楽に合わせて書をしたため、その美しさや演技の出来栄えを競う第17回書道パフォーマンス甲子園(全国高校書道パフォーマンス選手権大会)が28日、愛媛県四国中央市で開かれ、鳥取城北(鳥取)が連覇を果たした。1月の能登半島地震を受け、今大会は復興応援枠として石川県の県立能登高と日本航空石川の2校が招待された。両校は、人と人との関わりの大切さや未来への希望をテーマに作品を書き上げた。

連覇を果たした鳥取城北高校の演技=愛媛県四国中央市で2024年7月28日、山中宏之撮影
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 優勝した鳥取城北は、弘法大師・空海が行った仏教儀式の参加者名が書かれた「灌頂歴名(かんじょうれきめい)」をオマージュし、「あなたの大切な人は誰ですか」と観衆に問いながら、家族や恩師らの名前を書いて感謝を伝えた。小林愛音部長(3年)は「大切な人を思い、ありがとうと伝えたいと思ってくれたらうれしい」と語った。

 準優勝したのは水戸葵陵(茨城)。斉藤悠桜(ゆら)部長(同)は選手宣誓で、能登半島地震や東日本大震災に触れ、「自分たちの力ではどうすることもできないことがある。今の私たちにできることは日々の努力を全力で表現することです」と力強く述べた。同校は復興をテーマに「共に明日へ」などの言葉を連ね、手話を取り入れた振り付けにも挑戦した。

 3位は長野県松本蟻ケ崎が選ばれた。一瞬一瞬を懸命に生きる決意を表現し、「日日是好日」と大書した。

 復興応援枠で出場した能登高は、中央に「人薬」と大書し、人との支え合いの大切さを表現。1月下旬に部活動を再開したが、当時は水道が使えず、湧き水や雪で筆を洗うなど過酷な環境だったという。橋本紗奈部長(同)は「『笑顔の輪広がれ』と書いた。見てくださった方々に笑顔が広がればいいな」と語った。

復興応援枠として出場した日本航空高校石川=愛媛県四国中央市で2024年7月28日、山中宏之撮影
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 日本航空石川は「能登」を大書。美しい海や空を思わせる青色で能登半島を描いた。能登へと向かう飛行機に搭乗するパフォーマンスを披露し、将来への希望を表現した。現在、東京都青梅市に機能を移している同校。松本朱花(しゅか)部長(同)は「たくさんの人たちのおかげで充実した学生生活を送れている」と感謝した。

 大会には人気グループ「EXILE(エグザイル)」のTAKAHIROさんがサプライズで登場し、特別審査員を務めた。TAKAHIRO賞は本庄東(埼玉)▽審査員特別賞は福岡県立八幡中央▽南海放送オーディエンス賞は愛知県立愛知商▽紫舟賞は仙台育英(宮城)▽青柳美扇賞は兵庫県立須磨東――がそれぞれ選ばれた。

 大会は縦4メートル、横6メートルの紙に6分間の制限時間内で作品を書き上げる。今回は全国32都道府県109校参加の予選審査を通過した21校と、復興応援枠2校の計23校が出場した。【山中宏之】

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