インタビューに答えるピアニストの角野隼斗さん=東京都港区で2024年3月22日、宮武祐希撮影

 ピアニストでユーチューバー「かてぃん」としても人気の高い角野隼斗さん(28)が、米ニューヨークに拠点を置いてから1年を迎える。世界の舞台に活躍の場を求め、ソニークラシカルと日本人演奏家として4人目となる専属レコーディングのワールドワイド契約を締結。着実に歩みを進める角野さんが世界を意識するようになったきっかけを語った。

 「ニューヨークに家を借りました。住みます」

 角野さんがSNS(ネット交流サービス)に投稿した2023年4月18日付のコメントには、がらんとした部屋に荷ほどき前の段ボールが置かれたままの写真が添えられていた。

 それから1年。世界中から才能が集まる街に移り住んだ目的は、腕を磨くだけではないようだ。「自分が世界に出ようとしていることを、周囲へアピールするためでもあります。だから、ニューヨークにいられるのは、(1年の)3分の1ぐらいですが、ここに滞在している時はできる限りセッションに行ってみたり、いろんなミュージシャンに会ってみたりしています」と語る。

 そんなアーティストたちとの交流は、貴重な経験となっている。「ニューヨークは物価が高すぎて、アーティストにとっては住みにくいだろうなと思います。でも、みんな頑張って、そこにいるわけですよね。だから自分も頑張らないといけない。そういう人ばかりが集まっている場所に、20代のうちに身を置いていられるのはいいなと思います。何をしても、とても才能がある人たちに出会えるから刺激的ですね」

 世界の舞台を強く意識し始めたのは、21年に出場したショパン国際ピアノコンクールの後だったという。角野さんはセミファイナルで涙をのんだ。「(ファイナルに行けず)1週間ぐらい暇だったので、ヨーロッパを放浪していました」。その先に独自の表現活動をするアーティストたちとの出会いがあったと明かした。【須藤唯哉】

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