春季特別展「家形埴輪(はにわ)の世界」が20日、橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館で開幕する。今城塚古墳(大阪府高槻市、6世紀前半)から出土した高さ1・71メートルと全国最大の家形埴輪と、壬生富士山(みぶふじやま)古墳(栃木県壬生町、6世紀後半)の同1・68メートルと東日本最大のものを初めて同時に展示し、古代の大王らの邸宅の実態に迫る。6月16日まで。
古墳に並べた埴輪群の中央に配置された家形埴輪は、被葬者の魂が宿る「形代(かたしろ)」目的や権力を示すために作られたとみられる。実際の住まいのミニチュアとみられ、実物がほとんど残っていない古代の住居形態を知る貴重な資料と注目されている。
被葬者が継体天皇とみられている今城塚古墳の埴輪は現在の神社でもみられる屋根飾り「千木(ちぎ)」がある高床式建物。一方、地域の首長墓とみられる直径86メートルの円墳・壬生富士山古墳の埴輪は窓の小さい入り母屋造りで、屋根に格子状の飾りがある。
他にも重要文化財の美園古墳(大阪府八尾市、4世紀末)の埴輪▽建物の四方に四つの小さな建物が付属する西都原170号古墳(宮崎県西都市、5世紀前半)の埴輪(複製)▽複数の埴輪を並べた宮山古墳(御所市、5世紀前半)の展示――と全国53遺跡の60棟分が一堂に会している。
青柳泰介・同博物館学芸副主幹は「家形埴輪は権力者の住まいなどを知る貴重な資料。会場に来て古代の社会を想像してほしい」と話している。
午前9時~午後5時。月曜と5月7日休館(祝日の月曜は開館)。大人800円▽高校大学生450円▽小中学生300円。問い合わせは同博物館(0744・24・1185)。【皆木成実】
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