関東大震災時の朝鮮人虐殺をテーマにした作品が並ぶ会場=千葉市中央区の千葉市美術館「市民ギャラリー」で2024年8月27日、後藤由耶撮影

 101年前の関東大震災時に「朝鮮人暴動」のデマが広がり、市民や官憲が朝鮮人を虐殺した事件をテーマにした美術展が27日、千葉市美術館「市民ギャラリー」(千葉市中央区)で始まった。9月1日まで。

 美術展のタイトルは「<101・人>関東大震災から101年―人災の記憶を未来に伝える―」。千葉に関わりのある若手の在日朝鮮人と日本人の表現者らで作るグループ「百美+」が企画した。

 呼びかけ人で美術家の宋明樺(ソン・ミョンファ)さん(33)は「当時の朝鮮人虐殺と今の在日朝鮮人への差別は根源がつながっている。この差別の解消につながるように声を上げていきたい」と展示への思いを語る。

「百美+」の呼びかけ人で美術家の宋明樺さん=千葉市中央区の千葉市美術館「市民ギャラリー」で2024年8月27日、後藤由耶撮影

 千葉県内には、朝鮮人虐殺を伝える証言が数多く残る。朝鮮人暴動のデマを全国に伝えた内務省警保局長からの電文が発信された旧海軍無線電信所船橋送信所跡もある。しかし、大震災から100年の昨年、千葉県立中央博物館で開催された「関東大震災から100年」展では、虐殺については触れられていなかった。宋さんはこれに衝撃を受け、「アンチテーゼ」として今回の美術展の会場に公的施設を選んだという。

 会場には23人が出品した絵画や立体、インスタレーションなど30点の作品が展示されている。

 観覧無料。午前10時~午後6時(30、31日は午後8時まで、1日は午後5時まで)。【後藤由耶】

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