NHKのラジオ国際放送などの中国語のニュースで、中国人の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題について、NHKの古賀信行経営委員長は27日、記者団に「二度と起こらないようにすることが大事だ」と述べ、執行部に再発防止策を求めたことを明らかにした。

 古賀委員長によると、経営委員からは「(国際放送に従事する場合は)自国の主張と異なることを発言することをあらかじめきちんと、伝えるべきでは」「もっと速やかに対応ができなかったのか」といった意見が出たという。

 NHKは、再発防止策として、生放送だったラジオ国際放送の中国語のニュースについては20日から事前収録を実施し、他の言語も今月中に事前収録にする方針を示した。AI音声の早期導入を検討し、副会長をトップとする原因究明やガバナンス強化などを行う体制もつくるという。

 古賀委員長は、多言語で放送している国際放送について「原稿の中に自分の主義、主張を言い出しても不思議じゃない。防御策を今回に限らず考える時代になっている」と言及。政府見解などを海外に情報発信することも役割であることを念頭に「日本の立場を海外の人にもきちんと伝えることがベースだから、ニュースの速報性より正確性を重視するほうがいい」と対応策への評価を示した。

 NHKは19日にスタッフが生放送で尖閣諸島を「中国の領土」などと発言したと発表。その後、英語での「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などの発言もあったと明らかにした。

 NHKは「わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える」などと規定している国際番組基準に抵触したなどとして、「NHKが放送法で定められた責務を適切に果たせなかったという極めて深刻な事態」と謝罪。このスタッフとの契約は解除したといい、今後損害賠償請求を行い、刑事告訴を検討するとしている。(宮田裕介)

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