ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女 Dutch Press Photo/Cover Images via Reuters Connect

<2022年の婚約発表から2年、ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女がアメリカ人「自称シャーマン」と結婚式を挙げる。2人の奇妙な発言を振り返る──>

ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女(52歳)が、アメリカ人の婚約者デュレク・ベレット(49歳)と、ノルウェーのガイランゲルで結婚式を挙げる。お祝いの催しは、現地時間8月29日から始まる。

国王ハラール5世とソニア王妃の長女であるルイーセ王女にとって、2度目の結婚となり、元夫である作家のアリ・ベーン(故人)との間には3人の娘がいる。王女は2019年に、シャーマン(霊媒師)を自称するデュレク・ベレットと交際を始め、2022年6月に婚約を発表していた。

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ベレットはノルウェー王室で何かと物議を醸している。「一族で3代目のシャーマン」を自称する彼は、自分は完全には「人間」ではなく「原子を回転させる」ことで加齢を逆戻りさせる能力をもつと主張するなど、型破りな見解を披露して話題を呼んできた。

自称シャーマンの奇妙すぎる発言

しかし、彼はもっと奇妙な発言もおこなっている。

2人が交際を始めた当初、ベレットは北欧のトーク番組で、自身と王女は前世でも出会っていると語った。その後、米ピープル誌のインタビューでは、自身が古代エジプトをファラオとして統治していた記憶があり、ルイーセ王女が王妃としてそばにいたと話している。さらにその後インスタグラムで、自分は「レプティリアン(ヒト型爬虫類)とアンドロメダ人のハイブリッド種」だと語った。

ベレットの発言はメディアの注目を大いに集めたが、ノルウェーの人々はそのほとんどを無害なものとして受け流してきた。

しかし、ベレットの発言の中には王室にいっそう暗い影を落とすものもある。

ノルウェーのジャーナリスト、インゲボルグ・センネセットによると、ベレットは以前「子どもたちから悪い霊を取り除く」ことについて話していたという。

センネセットは英紙タイムズにこう語っている。「ベレットは2021年、私に立て続けにボイスメールを残し、イルミナティ(陰謀論において、世界を支配しているとされる秘密結社)の存在を信じ込ませようとした。彼が実際にどれほど現実離れした人物なのか、人々は知る必要がある」

ベレットはまた、2019年の著書『Spirit Hacking(スピリット・ハッキング)』の中で、子どもたちは不幸であるだけでガンになり得ると示唆した。この本は後にノルウェーの出版社によって取り下げられた。

一方、アイルランドの新聞がおこなったインタビューでは「女性が性的パートナーを多く持ちすぎると、膣の内側にある種の痕跡が刻まれ、それをきれいにする必要がある」と主張した。そして、自分は「そのためのエクササイズを提供している」と付け加えている。

ベレットのビジネス活動も懸念を呼んでいる。彼のウェブサイトでは、新型コロナウイルスを回避できるという黄金のメダルを222ドル(約3万2000円)で販売している。

人種差別を巡る応酬

ノルウェーの保健福祉省次官(当時)のウーラ・ヘンリク・クラット・ビョルクホルトは、ベレットを「悪質で危険なペテン師」と呼んだ。また、ノルウェー金融紙フィナンサビセンのトリグバ・ヘグナル編集長は、このシャーマンは「刑務所に入るべきだ」と評している。

しかし、ベレットはこうした批判を一蹴している。黒人である彼はノルウェーのメディアを「レイシスト(人種差別的)」と呼び、自身の発言は前後を切り取られ、故意にねじ曲げられていると主張している。

ベレットがソーシャルメディア上で人種差別的な罵倒を受けていることは間違いないとしても、歴史家でノルウェー王政に関する7冊の著書があるトゥロン・ノーレン・イサクセンは、ベレットに批判が向けられる理由はほかにもある、とタイムズ紙に語った。

「彼がソーシャルメディアやその他の場所で、多くの人種差別的な罵倒を受けていることは間違いなく、それは明らかに容認できない。しかし、肌の色以外にも人々が彼を批判する理由はある。ノルウェー人のほとんどは、彼の主張をインチキだと思っている」とイサクセンは述べている。

王女もスピリチュアルに

ベレットの見解に厳しい目が向けられる中、婚約者であるルイーセ王女もまた、自身が予知能力者であると主張し、公務から身を引いた。

「私が別の道を歩むことで混乱が起きている。特に、私がスピリチュアルであることについては多くの批判が寄せられている。ノルウェーにおいて、それはタブーなのだ」と王女は述べ、「ノルウェーの人々はドゥレク(ベレット)の考え方を理由に、私が公務を退くのがベストだと判断したのだろう」と付け加えた。

ルイーセ王女は、自らも代替療法センター「アスタルト・エデュケーション」を運営している。天使や死者とのコミュニケーションに焦点を当てた施設だという。

2019年に2人は、ノルウェーとデンマークの5都市を回る講演ツアー「王女とシャーマン」を敢行した。ウェブサイトの説明には、人々に「視野を広げる」よう促し、「自分が何者であるかをより深く理解できるよう、いくつかのツールを提供するツアー」とある。

2人は8月31日に結婚式を挙げる予定だ。本誌はソーシャルメディアを通じて2人に個別に連絡をとり、コメントを求めている。

結婚式には、2人の友人である女優のグウィネス・パルトロウをはじめとするセレブリティが招待されている。

パルトロウは以前、ベレットについてこう語っている。「彼の魅力は、人間でありながら別世界の存在のようでもあることだ。彼は子どものように心を開いてハグを受ける。大笑いする、人なつこい人なのに、あなたの腕に触れるだけであなたのことをすべて言い当ててしまう」

招待状は、結婚式のドレスコードについて「セクシーでクール」なもの、と指定している。
(翻訳:ガリレオ)

ヴァニティ・フェア誌の表紙を飾ったルイーセ王女とベレット

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2022年の婚約発表時の写真

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ナプキンが必要な王女のために、服を引きちぎるベレット

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精霊との接し方を「縦型動画」で説明する自称シャーマン・ベレット

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