復元された飛鳥時代の倉庫=川崎市教育委員会提供

 川崎市は、市内の国史跡「橘樹(たちばな)官衙(かんが)遺跡群」(高津区など)に飛鳥時代(593~710年)の役所の倉庫を復元したと発表した。一帯は「橘樹歴史公園」として5月18日にオープンする予定で、同時代の倉庫復元は全国初という。【和田浩明】

 市教育委員会が復元したのは、古代橘樹郡の役所「郡家(ぐうけ)」にあった7世紀後半のものとみられる倉庫「正倉(しょうそう)」4棟。納税された稲を保管した1棟は全体を、3棟は柱の基礎部を復元した。市設置の調査整備委員会や文化庁の専門家の指導を受けた。

 復元された倉庫は高さ約9・3メートル、幅約5・9メートル。柱を使わず板材を組んで屋根を支える「板校倉造(いたあぜくらづくり)」構造で、屋根はかやぶき。復元にあたり古代の大工道具の手斧(ちょうな)を使うなど、技術・技法も当時にならった。

「橘樹歴史公園」の全景=川崎市教育委員会提供

 同遺跡群のうち今回歴史公園となるのは東側の復元倉庫と周辺部。ほかに古代寺院や郡家、宿泊施設があったと推定されている。

 5月18日の公園開設式典では、役所の長「郡司(ぐんじ)」役として、当時の衣装を再現し身につけた福田紀彦市長があいさつ。見学者に倉庫内部も見せる。

 福田市長は16日の記者会見で「古代史ファンが注目する歴史スポットが誕生する。全国から多くの人に来てほしい」と話した。一般参加は先着順で約200人まで。駐車場はない。問い合わせは市教委(044・200・0403/3306)

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