福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナーでは今回、若狭町の若狭三方縄文博物館を紹介します。充実の縄文体験が魅力の一つとなっています。
三方湖のほとり、年縞博物館の隣にある緑に覆われた丘のような不思議な建物が、若狭三方縄文博物館です。土偶のおなかをイメージしています。
建物に入ると、縄文時代の杉の切り株が存在感を放っています。若狭町の地中から見つかった約5700~6200年前の杉で、樹齢500~600年と考えられています。
町内には、縄文時代の杉林が、いまも埋まっています。発掘された縄文杉は加工されキーホルダーなどの土産物となっていて、約6000年前の杉の香りを放っています。
館内では、近くで見つかった鳥浜貝塚の出土品を中心に縄文文化を紹介しています。鳥浜貝塚は、低湿地の遺跡では国内最古です。学芸員は「模型ではなく実物の貝塚をはぎ取ってきたもので、白っぽい層は食べた貝の貝殻をたくさん捨てた場所」と説明します。貝塚は、地下水に浸っていたため保存状態が極めて良く「縄文のタイムカプセル」といわれています。
学芸員は「実物の石斧の持ち手は木でできている。斜めに伸びている60度の角度が使うのにちょうどよく、この持ち手を『鳥浜タイプ』と呼んでいて、鳥浜貝塚で初めて見つかった。木製品が腐らないで残るのが『縄文のタイムカプセル』といわれる理由」とします。
漆の出土品については「それまでは中国から伝わったと言われていたが、鳥浜貝塚で見つかったウルシ(木)の年代測定をしたところ、日本列島が世界で一番古いことが分かった」と説明します。
鳥浜貝塚だけでなく三方湖周辺の遺跡からは丸木舟も出てきました。模して作った丸木舟があり、イベントでは三方湖で乗船体験ができます。(体験は全て要予約。300円)ほかにも縄文体験が充実しています。定番の勾玉づくりは削るだけで、子供でも楽しめます。(300円)
人気急上昇は土偶づくり(400円)です。2024年に新たに始めた体験で、国宝級の土偶を見本にオリジナルの土偶を作ることができます。乾かすだけで、すぐに持ち帰ることができます。
敷地内には、縄文時代に始まった「竪穴住居」が復元されいます。月1回(第4土曜)博物館の友の会「DOKIDOKI会」のメンバーが火焚きを開催しています。メンバーによると「復元した建物に虫がつくので焚火をしていぶし、虫よけや湿気防止をする」ということです。3棟のうち一番大きい住居7、8人用の住居はDOKIDOKI会メンバーになるとキャンプで利用することもできます。
若狭三方縄文博物館は、展示の中心となる鳥浜貝塚も近くにあり、気軽に縄文文化に触れることができるスポットです。
〈若狭三方縄文博物館〉
■三方五湖スマートICから車で15分
■体験は予約必要だったり不定期だったりするので、事前に問い合わせが必要。
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