5年ぶりにNGKの本公演に出演した宮川花子さん(手前)と夫の大助さん=大阪市中央区で2024年4月23日午後3時51分、谷口豪撮影

 血液のがんの一種、多発性骨髄腫で闘病中の漫才師、宮川花子さん(69)が相方で夫の大助さん(74)と漫才コンビ「宮川大助・花子」として23日、「なんばグランド花月」(NGK、大阪市中央区)の本公演に5年ぶりに出演し、漫才を披露した。闘病生活を笑いに変えて約9分間、円熟の芸で観客を魅了した。

 演者名を示す「めくり」に「宮川大助・花子」の名前が出ると、客席から「おー!」という歓声が上がり、大助さんに車椅子を押されながら花子さんが登場。温かい拍手が送られた。花子さんは大助さんを指して「こちら、大谷翔平です」「(夫婦生活)今年で48回忌」などとおなじみのスタイルで客席を沸かせた。

 花子さんは2019年1月に多発性骨髄腫と診断された。同12月に病名を公表し、厳しい治療やリハビリを続けてきた。2022年10月には肺に水がたまり、心肺停止の危機に陥るなどしたが、23年5月に「イエスシアター」(大阪市中央区)で4年ぶりに漫才を披露。NGKの夜の特別公演にも出演するなど、一歩一歩活動を積み上げてきた。

 2人の結婚記念日が4月9日であることにかけて花子さんは大助さんを「死ぬまで苦しむ」とイジりつつ、「いやなこと、苦しいことがいっぱいありますけど、本当に夫のありがたみを感じる。介護男子です」と感謝を口にし、ネタ中は何度も拍手と笑いが起きた。

 出番後の記者会見で花子さんは「なんとか生きて戻ってこられました」としみじみと語った。この日は2ステージを務め、「楽しかったです。よかったでしょ?」と笑顔を見せた。大助さんは「お客さんが『花ちゃーん!』と言うた瞬間、僕たちにエネルギーをくれる。嫁はんは舞台に出るたびに元気になる。本当に感謝です」と述べた。さらに「どんな形でも、元気でそばにいてほしい。(花子さんに)二度目の恋をしています」と語った。今後について花子さんは「会社と相談しながらやっていく」と言いつつ、「立ってセンターマイクの前まで行きたい」とさらなる目標を掲げた。【谷口豪】

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