昨年3月、ソウルで開かれたK-POPビジネスのフォーラムに出席したパン・シヒョクHYBE議長 Kim Hong-Ji - REUTERS
<BTSのヒットやM&Aでのし上がったが、内実はお寒い状況?>
韓国のエンターテインメント企業としては初めて大企業集団になったHYBEが、ビッグ4と呼ばれる韓国大手芸能事務所の中でESG(環境=Environment、社会=Social、企業統制=Governance)経営指標では最下位を記録した。特に、企業統制と環境でそれぞれC、B等級を受け、低調な評価を受けた。大企業集団に上がったHYBEが模範的な歩みを見せるべきだという指摘が出ている。韓国メディア、女性新聞が報じた。
韓国ESG基準院(KCGS)によると、HYBEの昨年のESG総合等級は「脆弱(C)」であることが分かった。S(卓越)からD(非常に脆弱)まで分かれるKCGSのESG等級体系で、Cは「脆弱な持続可能経営体系を構築しており、体制改善のための相当な努力が必要な状態」を意味する。韓国の4大エンターテインメント会社と呼ばれるHYBE、SMエンターテインメント、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメントのうち、YGとともに最下位だ。
環境、社会、企業統制のそれぞれでは各々B、B+、C等級を受けた。B(普通)は「多少脆弱な持続可能経営体系を構築している状態で、体制改善のための持続的な努力が必要な状態」を意味する。環境も4社のうち最下位だ。企業統制は4社のうち、YGエンターテインメントだけがD等級でHYBEは最下位を免れた。
HYBEの持分31.57%、パン·シヒョク議長の分
HYBEの企業統制については「パン・シヒョク独裁体制」という批判が出ている。HYBEは国内エンター業界で初めて「マルチレーベル」体制を運用中だ。BTSの所属するビッグヒットミュージックを筆頭に、SEVENTEENのプレディスエンターテインメント、LE SSERAFIMのSource Music、そしてNewJeansのADORなど11のレーベルを運営している。連結対象の従属企業だけでも65社に上る。HYBEは主要音楽レーベル子会社の持分を少なくとも75〜100%保有しており、さらにHYBEの持分をパン・シヒョク議長が31.57%(2024年半期報告書基準)持っている。業界では「事実上、HYBEの筆頭株主であるパン・シヒョク議長を牽制する手段がない」と指摘する。
またHYBEは企業統制の主要な指標の一つである「社外理事が理事会議長であるか否か」を遵守しなかった。現在、HYBE理事会議長職はパン・シヒョク社内理事であり、代表理事はパク·ジウォン社内理事が各自受け持っている。「独立した内部監査部署(内部監査業務支援組織)の設置」項目も遵守しなかった。HYBEは「内部監査業務支援組織はあるが、構成員に対する人事措置などに関する権限が内部監査機構にない」と明らかにした。
最近、ミン·ヒジン前ADOR代表取締役関連の議論も、パン・シヒョク理事が事実上ADORの経営権を統括していることから始まったのではないかというのが業界の雰囲気だ。
環境問題を無視したアルバム販売手法...「HYBE、模範を示さないと」
HYBEが6月に発表した「2023サステナブル経営報告書」によると、この2年間、HYBE所属アーティストのアルバムおよび公式商品に使われたプラスチック量は5倍ほど増加した。製品に使われたプラスチックの量は2021年372.7トン、2022年729.1トン、2023年1396.7トンで、計3.5倍以上増加し、包装に使われたプラスチックも2021年180.7トン、2022年192.1トン、2023年242.7トンで、計1.3倍増加した。
HYBEは昨年だけで4360万枚余りのアルバムを販売した。国内全体のアルバム市場で、HYBEの販売比率は40%に迫る。今年上半期の「ビッグ4」音楽事務所のアルバム売上1位もHYBE(23.4%)だ。大多数のK-POPファンは配信サービスでK-POPを聞いているが、HYBEを含めた全体K-POPアルバムの販売量は着実に増加する傾向にある。2014年737万枚だった400位圏の合計アルバム販売量(サークルチャート基準)は昨年1億1577万枚に増えた。
通常、アルバムは販売原価率が低い。事務所側がアルバム販売に熱を上げる理由だ。アルバムにランダムフォトカードを入れ、アーティスト別バージョンを作り、ファンサイン会の当選機会も高めるなど、多様なマーケティングを通じてアルバムを販売している。しかし、目に余る状態だという指摘があがっている。
ファンは、自分の推しのメンバーのフォトカードが出るまでアルバムを購入する。ファンサイン会の応募はアルバムが発売される特定期間に、特定の販売業者のサイトだけで実施される。さらに、グループのメンバー別のバージョンのアルバムを作成し、同じグループのメンバー同士でも競争原理を働かせている。だからといって、会社が明確な当選基準を明らかにするわけでもないため、希望するアーティストに会いたいファンは、できるだけ多くのアルバムを購入する。コロナ禍のタイミングでオンラインで行われる1分間ファンミーティングに参加するために数十、数百枚のアルバムを買ったというファンもいた。ファンサイン会の応募に参加するために購入されたアルバムは開封されることもなくそのままゴミになる。
捨てられるなら環境に配慮した素材の意味があるの?
HYBEは報告書で「アルバム、映像出版物および公式商品の素材、包装材、構成品全般での親環境性を考慮している」と明らかにした。国際NGO森林管理協議会(FSC)認証の紙や環境にやさしい大豆由来のソイインクの使用、再生プラスチックの使用、環境への影響が少ない水性·UVコーティングの優先使用及びフィルムコーティング(ラミネート)の最小化などを通じて、環境にやさしい製品·サービスを提供するという立場だ。
しかし、環境団体は「グリーンウォッシング」に過ぎないという立場だ。グリーンウォッシングとは、自社製品や経営活動を環境にやさしいかのように包装する環境性表示広告行為をいう。K-POP気候運動団体である「K-POPフォープラネット(K4P)」関係者は「ソイインクやFSC認証紙を使っていると言っても、このように全て捨てられるのに何の意味があるのか」とし「無駄に捨てられるものを買わないことが必要だ」と話した。
今年5月、公正取引委員会はHYBEを資産総額5兆ウォン以上の公示対象企業集団に指定した。つまりHYBEは国内芸能事務所として初めて大企業集団に指定されたことになり、パン・シヒョク議長も大企業のトップ経営者の仲間入りをしたことになる。
それだけに圧倒的なアルバム販売量と国内芸能事務所で初めて大企業の仲間入りした点を考慮すると、HYBEはそれだけ責任をもって問題解決の先頭に立たなければならないと言えるだろう。。
パン・シヒョク、JYPを語る
パク・ジニョンのデビュー30周記念番組でビデオレターを寄せたHYBEパン・シヒョク議長 KBS K-pop / YouTube
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