島根県の「あるある」をクスッと笑える“自虐コピー”でつづった「島根自虐カレンダー」。2011年から毎年発行され、県民にもすっかりおなじみのカレンダーだ。9月に入り、2025年版が発売されたが、その陰では “存続の危機”とも言えるピンチを借りて乗り越えていた。
“愛”の裏返し「自虐カレンダー」
夢の国より黄泉(よみ)の国が身近
神話の国・出雲に、世界的人気キャラクターに会えるあの「夢の国」はないが、“あの世”への入り口なら確かにある。
この記事の画像(12枚)猫の手よりも柴犬の手を借りている空港がある
これは島根・益田市にある「石見空港」のこと。1日に発着するのは東京便2往復だけで「猫の手」を借りるほどの忙しさではなさそうだが、山陰の固有種「山陰柴犬」が乗客を出迎えてくれることがある。
こんな自虐的なコピーが並ぶのが、2011年から発行されている「島根自虐カレンダー」だ。
「かわいさ余って憎さ百倍」ではないが、あふれる“島根愛”の裏返しとも言える「自虐コピー」が話題となって、累計発行部数10万部を超え、県民にはおなじみの人気商品だ。
作品の随所に「島根県」が登場するアニメシリーズ「秘密結社鷹の爪」のキャラクター・「吉田くん」が、島根県の「あるある」を自虐的に紹介し、島根の存在をアピールしている。
高校生がアイデアを提供
2025年版の販売が9月6日から始まったが、その表紙を見ると「もう自虐が尽きた」と弱気のコメントがあった。ついに“自虐コピー”が「ネタ枯れ」になってしまったようだ。
初版から15作にして直面した “存続の危機”とも言えるピンチに、「吉田くん」の生みの親で「自虐カレンダー」の制作も手がけるクリエイターのFROGMAN(フロッグマン)さんが頼みにしたのは高校生。島根県に住む若者が「島根をどう感じているのか知りたい」とも考え、決断したそうだ。
その思いを託され、コラボに参加したのは松江南高校の生徒たちで「自虐カレンダー」史上初のチャレンジだ。6月、東京にいる制作スタッフとオンラインで打ち合わせして、アイデアを出し合った。
「スタバに行くのは異世界旅行」「ドームツアーの発表があるとドキドキしてしまう」など高校生らしい「自虐コピー」が集まった。
それから約3か月、でき上がった2025年版を生徒たちのもとに届けた。生徒たちは手に取りながら、アイデアが採用されて「ちょっとびっくりしたけどうれしい」と喜び、「身近な声を全国の人に届けられるっていうのがいい。買ってもらえるとうれしい」などと笑顔を見せてくれた。
結局、高校生のアイデアが7つ採用された2025年版のカレンダー。「ネタ枯れ」のピンチをチャンスに変えて、さらに幅広い県民に「あるある」とうなずいてもらえそうだ。
(TSKさんいん中央テレビ)
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