人気ロックバンド、B'zの稲葉浩志さんが、出身地の岡山・津山市で行った初のソロライブから1カ月余りがたった。カリスマ的アーティストとファンの絆は地域にインパクトを与え、現代の音楽文化が地域にもたらす影響の大きさを示した。

約1万6600人のファンが市内に

全国ツアーの一環として8月13日と14日に行われ、人口約9万5000人の市内には、全国から延べ約1万6600人のファンが訪れた。2017年にB’zとして行って以来2回目のライブで、ソロとしては初めてだ。

地元グルメのブースも並び、カラオケのステージはB’zの曲を歌う人で盛り上がった。

この記事の画像(13枚)

ファンは「稲葉さん最高~!めっちゃ楽しかった。声も最高!演奏も最高!大好き」「稲葉さんありがとう!また待ってます!」と興奮冷めやらぬ様子だ。

会場の津山文化センター周辺は、稲葉さんの語呂合わせで「178」のナンバーを付けた車が次々と現れた。そして、ライブが始まる10時間前からは長い行列に。

「他県の人が何泊もしてライブを見に来ている。会場に入れなくてもここに来てくれるのがすごい。稲葉さんの力」とファンは誇らしそうだった。

「津山の話がいっぱい出てきた」

会場の客席は約1000席。

夢のようなひと時を過ごしたファンからは、「稲葉さんが地元のことをいっぱい話をしていて、最高だった」「津山の話がいっぱい出てきてぐっとくるものがあった。稲葉さん最高だった」と熱く語った。

一方、稲葉さんもファンや地元を強く意識していた。全国ツアーは1万人規模の会場を選んでいるが、津山市の会場は約1000人の規模。大規模な会場がなくても地元、津山だから…。そうした思いを感じさせる。

さらに、ライブ2日目にはこんなサプライズも。

会場に入れなかったファンが周辺に殺到する中、会場の扉を開いて中の雰囲気を感じられるようにしたのだ。

このサプライズには、会場の外いたファンも「チケットはなかったが、来て良かった」「学生時代から追いかけてきて良かった」「稲葉さん、サプライズありがとう」と胸いっぱいの様子だった。

母・邦子さんが語る稲葉さんの「故郷愛」

津山に大きなインパクトを与えた稲葉さんのライブ。ライブが終わったあとも、津山の町は熱狂の余韻が残っていた。

稲葉さんの母親・邦子さん(87)が昔から営み、「聖地」とされる化粧品店でもファンの姿は絶えないという。

稲葉浩志さんの母・稲葉邦子さん:
毎日いっぱい来る。ただ普通に話すだけで特別なサービスはないが。子供のおかげで皆さんが大事にしてくれる。

邦子さんは「こんなに盛大にしてくれて津山の町の人やファンの皆さんにお礼の言いようがない。感謝」と改めて語った。

また、稲葉さんの母親は、稲葉さんの思いをこのように語った。

稲葉浩志さんの母・稲葉邦子さん:
やっぱりうれしいみたい。故郷愛というか。ライブではまた来たいと言っていたらしいから、やっぱり津山が好きなんだと思う。ドアの開放はよそではしていなくて、津山だからするみたい。

「稲葉さんは神様みたいな存在」

日本の音楽シーンで輝きを増すカリスマ的アーティストとファンの絆。その絆は地域の人の心に大きなものを残した。

津山の商店街では出店などでファンをもてなし、新たなにぎわいが生まれた。

シューズカワト・川戸一利社長:
全然知らない人同士が輪になって歌って。こういう光景は稲葉さんだからだと思った。稲葉さんのファンは行儀もいい。

タクシーの運転手:
B級グルメの津山ホルモンうどんで有名になってにぎわって以来の人通りの多さで、稲葉さんのすごさ、伝説的な人気に圧倒された。

稲葉さんの名前が刻まれている地域の神社にもファンが訪れ、地域の人たちと交流した。

神社を管理する川崎八幡神社・片山恭司責任総代:
遠方からファンが来ることは大変な驚き。稲葉さんは神様みたいな存在。

ファンがもたらした地域への影響。それを一番感じたのは稲葉さんの母親だった。

稲葉浩志さんの母・稲葉邦子さん:
「お母さんと話がしたいから来た」と言われる。ちょっとでも長生きしないといけない。握手して皆さんがパワーをくれる。

稲葉さんのソロライブは、現代の音楽文化が、地域を変える大きな可能性を持つことを示している。

(岡山放送)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。