秋田県能代市の小学生バレリーナにスポットを当てる。小学生とは思えない大人びた表現力や天真らんまんな姿など、さまざまな表情に注目だ。

67年の歴史がある能代市の「たなはしあゆこバレエスクール」には、子どもから大人まで約30人が通っている。この日は9月23日の発表会に向けて、子どもたちがレッスンに励んでいた。

12歳の工藤理瑛さんは、3歳からスクールに通い始め、クラシックバレエやモダンダンスを習い、さまざまなコンクールにも出場している。

踊りを始めたきっかけについて、工藤さんは「私には姉が2人いて、どちらもバレエを習っていた。スクールの外からずっとのぞいて、どうしてもやりたくて憧れて、お母さんに頼んで始めた」と話す。

幼い頃から大好きな踊りを続け、めきめきと上達する工藤さん。指導する棚橋先生にも笑顔がみえる。

 たなはしあゆこバレエスクール・棚橋絵里奈代表:
「本人も踊りをすごく愛しているので、踊りの神様にも愛されているような感じ。筋力がものすごく強くて、何があってもへこたれない、練習を続けるという強みがある」

先生お墨付きの筋力を生かして、片脚を後ろに高く上げる技「アラベスク」も上達。最近は表現力も伸びてきた。

棚橋先生は「小さい頃はとにかく楽しく踊っていて、好きで好きでたまらないという感じだったが、年相応に本を読んだりして、深い内容を出せるようになってきたんじゃないかなと思う」と工藤さんの成長ぶりを分析する。

その成長ぶりを表すうれしい出来事があった。8月に開催された「東京なかの国際ダンスコンペティション」の小学校高学年の部で、工藤さんが国内外から集まった70組の頂点に輝いたのだ。

大会は、ダンスのジャンルを問わず「見る人に感動を与えることができるかどうか」を重点に審査が行われる。工藤さんはモダンダンスのオリジナル作品で、命のはかなさを表現し、技術面の特別賞も受賞した。

 工藤理瑛さん:
「びっくりして、本当に自分が1位なのかなと、叫んで飛び跳ねた。踊りながら、自分も泣いちゃうくらいの勢いで、その気持ちになりきるということを意識して頑張った」

喜びの一方で悔いも残った。大会ではアラベスクでふらついてしまったり、ターンで軸がぶれてしまったりしたからだ。

23日の発表会でも同じ作品を披露するため、演技に磨きをかける。棚橋先生は、縮まった時のポーズで、顔の向きが気になるとアドバイスした。

 工藤理瑛さん:
「今持っている自分の力を精一杯出し切って、見てくれている人に感動を与えられるような踊りが踊れるように頑張りたい」

そして迎えた発表会当日。会場には、リハーサルを終えて仲間と写真を撮る工藤さんがいた。

ステージに向かう気持ちを聞いてみると「緊張と楽しみです」と返ってきた。

本番では、8月の大会で70組の頂点に輝いた作品「泡沫(うたかた)」が披露された。水面の泡のようにはかなく消えてしまう一瞬を、しなやかに表現する。

ブラッシュアップを重ねて臨んだ発表会。棚橋先生も舞台裏で優しく見守った。そして「これからもどんどん高みを目指して、成長していってくれたら」と将来への期待を口にした。

工藤さんは、ほかのプログラムでもさまざまな表情を見せてくれた。

「練習ではつらいこともあるが、踊っている時は本当に楽しい」と話す工藤さん。彼女が目指す理想のバレリーナとは…。

 工藤理瑛さん:
「人に感動を与えられるような、心も踊りもきれいなバレエダンサーになりたい」

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