京都市で30日に指された将棋の第72期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第3局で挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に逆転勝ちを収め、3連勝で初防衛を果たした藤井聡太王座(22)は同夜、対局場のホテルで記者会見し、「シリーズ全体としては、第1局や本局は中盤戦が長い将棋になり、非常に判断の難しい局面が続いて、対局していて充実感のあるシリーズだった」と振り返った。
逆転勝ちだった第3局について藤井王座は「最終盤は少し足りないかなと思っていて、9六香と王手したところで(本譜の9七歩ではなく)9七桂とされていたらこちらの玉への詰めろが継続していて負けの形だったと思います」と話した上で、「9一飛とどちらを指すか迷っていたんですけど、どちらでも少し足りない感じかなと思っていました。ただ、対局中なので最後の(勝負手)という意識よりは、勝負手を探しながら指していたという感じかなと思います」と明かした。
「(失冠した)叡王戦を勝ち進めばまた8冠も見えてくるが、目指してみたい気持ちはあるか」との質問には、「今の段階では全く考えていなくて、基本的には次の一局、目の前の一局に全力を尽くしていきたいと考えています」と答えた。
名人をはじめ7冠を堅持した藤井王座。年内最後のタイトル戦として、4連覇を目指す第37期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)が10月5日に佐々木勇気八段(30)を挑戦者に迎えて開幕する。佐々木八段にはプロデビュー戦からの連勝を29で止められ、また、昨年度のNHK杯決勝で苦杯をなめさせられた相手。藤井王座は「佐々木八段の最近の対局を見ていると鋭さに手厚さもあって非常に充実している。竜王戦も大変なシリーズになると感じています。佐々木八段と2日制の対局をするのは初めてなので楽しみな気持ちもありますし、一手一手しっかり読みを入れて充実した内容の将棋を指せればと思います」と意気込みを語った。【新土居仁昌】
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