東京都渋谷区の新将棋会館が1日開館し、道場やカフェ、売店を一体化した「棋の音(きのね)」には午前10時のオープンまでに約300人が長蛇の列を作った。名付け親の佐藤康光九段が一日店長を務め、「ただいまからオープンします」とあいさつすると、待ちかねたファンらが次々と館内に入った。公式戦は年明けから新会館で始まり、移転が完了する。
野性味あふれる「康光ブレンド」
「棋の音」は年末年始を除く午前10時から午後9時まで営業。旧会館は売店が1階、将棋道場が2階と分かれていたが、カフェと一体化することで将棋ファン以外にも足を運んでもらい、興味があれば将棋も指せるようにした。
佐藤九段は「早くからこれだけ多くの人に来てもらって非常にありがたい。日本の伝統文化の“木の根”として、次の100年につなげていきたい」と大にぎわいの船出を喜んだ。コーヒー好きで、自ら監修した「康光ブレンド珈琲(コーヒー)」(660円)がカフェで販売されている。「豆選びに3カ月くらい悩んだ。私が野性味のある棋風なので、野性味の強いタンザニアの豆を配合した」という。
列の先頭に並んでいたのは近くに住む沢田真由さん(47)。友人とともに午前5時ごろに来たといい、「近所に将棋会館があると知っていたが来たことがなく、(新会館建設の)クラウドファンディングの返礼品に好きな(画家の)ヒグチユウコさんのコラボグッズがあり、新しい会館に興味を持った。今回もヒグチさんの新しいグッズがあると聞いて来た。こういうスペースができてうれしい。カフェにも足を運びたい」と話した。
駒もなか、棋士酒場も
プロントコーポレーションが運営するカフェの主なメニューは、欧風カレーとキーマカレーをかけた「2種『相掛かり』カレー」(1320円)、月替わりで棋士の写真をプリントする「棋士カプチーノ」(770円)、レモネードベースの炭酸飲料「棋の音スカッシュ」(715円)、将棋駒の形の「駒もなか」(880円)など。
午後6時以降はアルコール飲料も提供し、飲みながら道場で指すことが可能。棋士や女流棋士が参加するイベント「キッシサカバ(棋士+酒場)」も11月からスタートする。
旧道場の盤を再生したグッズ
ショップでは、盤や駒、戦術書、棋士の揮毫(きごう)入り扇子といった定番グッズのほか、クリアファイルやボールペンをはじめとする文具、公式戦の対局に採用している座布団などを販売。旧会館道場で長年使われ、移転とともに廃棄された将棋盤を材料に、東京芸術大美術学部の学生がデザインした木製クリップやコースター、本立てといった作品も展示されている。
将棋道場の1日券の席料は一般が平日1500円、土日・祝日2500円。時間帯指定の4時間券は平日1200円、土日・祝日2000円。【丸山進】
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