世界文化遺産登録を目指している「彦根城」(滋賀県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)は「世界遺産の登録基準を満たす可能性はある」としつつ、説明の充実が必要だとする事前評価の結果を政府に通知した。文化庁が2日に通知を受け、9日公表した。
通知は彦根城について、他の城郭などと共に資産群として推薦することも考えるべきだとした。
日本が事前評価制度を利用したのは初めて。滋賀県は単独での推薦を求めており、政府は通知を踏まえ、推薦の可否や方法を検討する。推薦書提出は最短でも2026年となり、登録可否の判断は27年以降になる。
同制度は登録プロセスの円滑化のため昨年から試行され、推薦に先立ってイコモスが助言を行う。27年推薦分からは、各国に利用が義務付けられる。
彦根城は1992年に暫定リストに記載されてから30年以上が経過しており、文化審議会は「事前評価制度を活用して方向性を検討すべきだ」と指摘。政府は昨年9月、ユネスコに事前評価申請書を提出していた。
彦根城は江戸幕府主導で1604年から約20年かけて完成。城主は井伊家で、幕府の全国統治の要として重視された。天守は国宝に指定されている。
世界文化遺産登録を目指す「彦根城」=2013年5月、滋賀県彦根市
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