生誕から95年を経ても魅力は色あせません。その愛らしさと気品で世界中を魅了したオードリー・ヘプバーンの写真展が鹿児島市の美術館で開かれています。

大きな瞳と天真爛漫な笑顔。1953年、銀幕の世界に舞い降りた女優、オードリー・ヘプバーンです。

鹿児島市立美術館で開かれている企画展には彼女の足跡をたどる写真150点が並びます。

1929年、ベルギーで生まれたオードリー。子供時代は明るいことばかりではなく、両親の離婚や第二次世界大戦を経験。バレエに打ち込むも、高身長を理由にバレリーナの夢を諦めました。

そんな中で見つけたのが、女優への道。1953年の「ローマの休日」でハリウッドデビューし、世界をとりこにしました。会場にはそんなオードリーのメッセージがあります。

(メッセージ文)
「服は人を作る」といいますが、私の場合、衣装は失いがちな自信を与えてくれるものでした。ファッションは間違いなく私にとって夢中になれるものです。

会場には、ハリウッドフォトグラファーの一人、マーク・ショウが『麗しのサブリナ』の撮影の時に密着取材のような形で撮影した写真が並びます。鹿児島市立美術館の花山潤治学芸アドバイザーは「笑顔が中心なんですけど、時にお茶目な表情、可愛らしい瞬間を撮っています」と説明します。

なかにはハイネックの服をまとった一枚も。花山さんによると「彼女は自分の首が長いことがコンプレックスで、逆に首の長さを強みに変えるファッションを研究していた」とのこと。自分なりに欠点があってもそれを素敵に見せようする努力があったのでしょう。

日常風景を映したスナップもあります。ボーダーにパンツスタイルが、上品ながらも親しみやすさを感じさせます。食事をしながら小説を読むのが大好きだったそうです。

メイクもファッションの大事な一部でした。

花山さんは「『世界一美しい目の持ち主だ』と言われたときに、オードリーは、メイクアップアーティストを称えて『世界一美しい目のメイクのおかげです』と語ったそうです」と、オードリーの謙虚な一面を披露してくれました。

不朽の名作「ティファニーで朝食を」にもファッションの力が。漆黒のドレスは長年オードリーの友人でもあったジバンシイが手がけたもの。オードリーは当初、自身とかけ離れた自由奔放な主人公を演じることに不安を抱えていましたが、ゴージャスな髪型も相まって映画史に残るワンシーンが生まれました。

25日の会場は平日にもかかわらず多くの人が写真に見入っていました。

訪れた人
「自分に似合うものをよく分かっていて、自分の見せ方を知っている。そこが人気になった理由なのかな。つい見入ってしまいます」

当時のオードリーを懐かしむ女性も。

訪れた人
「(私は)ここ4~5年、目が悪くなってきて。ぼんやりでも好きなこと、見えるものを心に収めようかなと思って来ました。やっぱり人間はその人の生き方がどうしても現れてくると思うの」

鹿児島市立美術館・花山潤治学芸アドバイザー
「彼女が持っていた世界への愛と思いやり。スクリーンの中やその周辺で見せた輝きを通して、見ている人にスプレーションを与える展示になっています」

オードリー・ヘプバーン写真展は、5月6日まで鹿児島市立美術館で開かれています。

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