主人公がボクシングに目覚めるドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)。どん底状態に陥った主人公・佐藤ほこ美(奈緒)が葛谷海里(玉森裕太)と出会い、様々な展開が起こるが、1話にはほこ美と海里がクレーンゲームを楽しむシーンが登場する。ゲームセンターやショッピングセンター、観光地などに置かれているクレーンゲームは、幅広い世代が気軽に楽しむことができる人気アミューズメント。昨今はさまざまな景品が登場し、より多くの人々が楽しめる人気のゲームとしてアーケードゲームだ。クレーンゲームが得意なほこ美は物理的に景品の獲得方法を考えていくのだが、果たして実際にその方法で獲得できるのか。ゲームセンター協力を行う株式会社GENDA GiGO Entertainmentの広報課・古川誉氏にクレーンゲームの楽しみ方やコツなどを聞いた。また、クレーンゲームがドラマで果たす役割についても追ってみる。
自分なりに攻略方法を考えるのがカギ
――バラエティ豊かな景品やいろいろなスタイルの機種が登場している昨今のクレーンゲーム。本作でも登場人物たちが楽しんでいるこのゲームの楽しみ方を教えてください。
ただ景品を取るだけであれば、自動販売機や物販でもいいですが、やはり獲得できるまでの過程を自分で考えて挑むことに面白さがあるのではないでしょうか。すごく出来の良いフィギュアや、かわいいぬいぐるみなど、進化した景品がどんどん登場しています。それらの景品をいかに1回で取ろうか、ほこ美のように物理を使って考えてみてもいいですし、自分なりに攻略方法を考えて、試行錯誤して、ドキドキハラハラすることがクレーンゲームの楽しみ方だと思います。
――いわゆる2本のアームを使うタイプのクレーンゲームだけでなく、3本のアームを使うタイプ、1本のアームだけを使うタイプなど、クレーンゲームにはさまざまな種類がありますが、本作でほこ美や海里が楽しむのはどんなタイプですか?
2本のアームで景品をつかむタイプのクレーンゲームが登場します。その中でも、最新のクレーンゲームも出てくれば、20年ぐらい前の懐かしいものも登場する予定です。それらのゲームをどのようにほこ美たちがプレーしているのかに注目して見てもらえるといいなと思います。
奈緒さんと玉森さんはまさに<ほこ美と海里>そのもの
――クレーンゲームが得意だと話すほこ美が物理的な考え方で景品の獲得方法を考える場面がありますが、実際にそういったやり方で景品を獲得することは可能ですか?
実は、ほこ美のように物理的に考えて景品を動かすことは簡単ではありません。そこは制作スタッフの方も悩んでいました。クレーンゲームは景品の重心のバランスや、ボタンを押す、離すタイミングによって、毎回動きが変わるので、その通りにうまくいくことはなかなかなくて…。撮影3日前に助監督がほこ美のセリフ通りに動くかどうかの事前検証をするために店舗に来られて。景品を1ミリ、1ミリと少しずつ動かして、置き場所や支えているバーも何センチが一番動くのかをメジャーで測りながら、1時間ぐらいかけて撮影の段取りを決めている姿を見ました。
――とても細かく詰めていくなかで、撮影当日は事前検証通りに景品を獲得できたのでしょうか?
思っていたようにいかず、試行錯誤を重ねていました。その時に印象的だったのが、失敗してしまうたびにスタッフの方が、「次、できるよ。大丈夫、大丈夫」とみんなで励まし合っていたんです。その姿を見てとてもいいチームワークだなと感心しました。どの落としが採用されているか、僕自身も放送が楽しみです。
――奈緒さんや玉森さんのクレーンゲームの腕前はいかがでしたか?
奈緒さんはコツをつかむことがすごくうまい方でした。一度「こうやって取るんです」と説明をしたら、合間にずっと練習をされていて。最終的に撮影が終わる頃には袋いっぱいの景品を持ち帰ることができるくらいうまくなっていました。その腕前に思わず、「奈緒さんが攻略動画を出したら、みんな見ると思いますよ」と言ったら、とても喜んでいました。玉森さんは、奈緒さんのその様子を見ていたようで、コツを聞いて挑戦されていましたね。その姿はほこ美と海里のようでした。
クレーンゲームが苦手な人におすすめの攻略ヒント
――本作はほこ美がボクシングや恋に何度もひたむきに立ち向かう姿が描かれます。クレーンゲームも、練習を重ねて立ち向かうと上達するものでしょうか?
一度失敗したからといって、諦めるのではなく、狙い方がダメだったな、次にどこを狙ったら動くかなと考えることが大事です。どの景品を取るにしても、まずは動かすことをイメージして、そのイメージ通りに動くのであればそれを続けてもらって、イメージ通りにならなかった時は、狙いを変えてもらいたいです。取れるイメージまで考えられるといいですね。
――ずばり景品を獲得するコツは何でしょうか?
あまり大きな声では言えないですが、どの景品にも重心があるのでその重心を意識することです。景品の中心を持ち上げて取ろうと考える方が多いと思いますが、真ん中を意識しすぎると重さやバランスの関係でスルスルと落ちてしまうんです。なので、景品の重心を考えて、アームでつかむより引っかけて落とすほうがいいかもしれません。
――クレーンゲームが苦手な人はどうしたらよいでしょうか?
うまい人のプレーを見るとヒントになると思います。ただ、押すボタンのタイミングが人それぞれ違うので、見ただけでは上達しないので、まずはその動きを知識として入れつつ。実践で試行錯誤しながら実践すると、取れた時にうれしさを感じて、きっとやめられなくなると思います(笑)。
チームワークの良さに「いいドラマになる」と実感
――クレーンゲームにも集中力や諦めない気持ちが大事とのことですが、古川さんご自身にそういった経験はありますか?
僕の原動力となっているのは、高校時代の出来事から。僕の出身高校は全国高等学校駅伝競走大会で最多優勝している強豪高校なのですが、体育の授業や学校行事で走ることが多くて。例えば体育の授業前に4キロを走った後、準備運動してサッカーをするほか、学年対抗駅伝大会もありました。その中で同学年で行う駅伝大会の時は同級生に負けたくないという気持ちになるんです。個人で頑張るとともに、タスキを渡す仲間を励ましたり、一緒に練習したりするチームワークがすごく大事で楽しかったんです。みんなと一緒に一つのことを楽しむ、頑張ることの大切さは、今回のドラマの撮影に立ち会わせていただいた時にも感じました。誰かが大変な状況になっていたら、声をかけて励ます。そんな皆さんの姿を見て、すごくチームワークがいいなと思いましたし、個人的にいいドラマになるなと実感しました。
「セリフ通りに物理的に考えて景品を動かすことは簡単ではありません」と話す古川氏。自分のなかで、狙った景品を取るイメージをすることを始めとするコツを語りながらも、「諦めないで挑戦してほしい」という言葉も口にしていた。仕事も遊びも、どんな物事だって、諦めずにがんばって食らいついていけば、道は開けるということなのだろう。
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