中国ゆかりで日本三禅宗の一つ、黄檗(おうばく)宗の大本山・萬福寺(まんぷくじ)(京都府宇治市)にある三つの建物が国宝に指定される見通しになった。国の文化審議会が18日、文部科学相に答申した。長楽(ちょうらく)館として知られる明治時代の洋館建築「旧村井家別邸」(京都市東山区)も重要文化財になるという。
萬福寺は江戸時代初期に中国からきた隠元隆琦(いんげんりゅうき)(隠元禅師)が創建した。境内には中国・明朝の仏教建築の様式をとり入れた伽藍(がらん)が並ぶ。焼失などを免れ、創建当初の姿を伝えている。
国宝になるのは、大雄宝殿、天王殿(1668年)、法堂(62年)。いずれも寺の中心的な建物で、一直線になるように建てられている。
大雄宝殿は本堂にあたる最大の建物。左右の円窓や、チーク材が使われていることなどが特徴的だ。天王殿は寺の玄関にあたる。弥勒(みろく)菩薩(ぼさつ)の化身とされる布袋像がまつられている。法堂は説法をする場所だ。
黄檗宗の管長で、萬福寺の近藤博道住職は「多くの方々の力で隠元禅師の時代から現在まで建物が維持できた。国宝指定は、しっかりと維持していこうという強い気持ちが得られる」と話す。
旧村井家別邸は、煙草(たばこ)王と呼ばれた実業家・村井吉兵衛が1909(明治42)年に円山公園に隣接して建てた。西洋風・中国風・和風など各室の性格に応じて使い分けられた意匠なども目をひく。
「京都の迎賓館」とも呼ばれ、著名人が集った。ここを訪れた伊藤博文が長楽館と名づけたとされる。いまはカフェやレストランとして活用されている。(清水謙司)
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