1枚の写真から街を再発見!兵動大樹の今昔さんぽ。

阪神御影駅前から今と昔の風景を見比べる旅にスタート。神戸の御影は、日本を代表する酒どころ「灘五郷」の一つです。

今回の写真は1930年(昭和5年)に撮影されたもの。手前には線路があり、商店のような建物には「みりん酒と○○漬」という看板が見えます。お酒と関係があるのでしょうか?

写真を見た地元の人は「奈良漬、いや甲南漬じゃないかな。『甲南漬』はこの界隈では有名」と言います。

奈良漬は酒粕に野菜や果物を漬け込んだ奈良発祥の漬物。それが江戸時代には、酒の粕漬全般の名称として全国に「奈良漬」が広まりました。

御影市場の和菓子屋のご主人が、中学・高校・大学まで甲南に通った学生さんを「あんた甲南漬か」というのだと教えてくれました。

■奈良漬じゃなくて『甲南漬』

国道43号周辺で聞き込みをしようとした兵動さん。前から行きたいと思っていた「灘五郷酒所(なだごごうさけどころ)」を見つけて、ちょっと一杯寄り道することに。ここは剣菱酒造の酒蔵を改装し、灘五郷に26ある酒造の日本酒と、「旬、地元、相性、発酵」をテーマにした食が楽しめるお店として注目されています。

「甲南漬」は、灘五郷の酒蔵の中で唯一日本酒を作っていない酒蔵で、みりんと酒粕を使った甲南漬を作っているのだそうです。灘五郷酒所で甲南漬と一緒に、ぴったり合う日本酒もいただきました。

【兵動大樹さん】「(甲南漬を食べて)うん、奈良漬やね。うそうそ。初め甘みがあって、辛みがどんとくる。味が変わって、めちゃくちゃおいしい。これ食べて生まれ育ったら、奈良漬じゃなくて『甲南漬だ』となるよね」

■甲南漬本店で話を聞くと「甲南漬は、奈良漬です」

写真の建物は甲南漬本店でした。「みりん酒…」の看板は、いま店内に飾られていて、写真では見えなかった部分に「奈良漬」と書かれていました。

【高嶋酒類食品株式会社 桑原隆さん】「甲南漬は、奈良漬です」

江戸時代、酒蔵が多かったこの地域で、初代高嶋平介が酒粕の仲買を始めたのがきっかけ。1870年には、酒粕から粕取(かすとり)焼酎の醸造を始めたのです。さらに、自家製の焼酎をもとにみりんの醸造も始めました。甲南漬は、最後に自家製のみりん粕で漬け込むので、みりんが欠かせません。

1905年から甲南漬の製造を開始。多くのみりん粕に漬けることで濃厚で食べやすい甲南漬は地元の名物となりました。

もともと奈良漬は漬物の中でも高級品で贈答品として用いられました。塩漬けから始まり、1年以上かけて漬け込み、本漬で自家醸造のみりん粕に漬け込みます。

うりだけではなくスイカやきゅうりなども漬け込みますが、ちょっと珍しいニンニクの甲南漬もあります。

さて甲南漬本店ですが、阪神淡路大震災で被害を受け、現在の本店は少し場所を移しています。お店の前にあった線路は阪神電車で、少し離れたところで高架になっています。

【兵動大樹さん】「『甲南漬』。54年関西に住んでいて初めて知りました。おいしい、奈良漬です。でも最後の工程を加えることで甲南漬になる。街の皆さんに愛されています。またポリっと食べながら、一杯飲ませていただきます」

(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」 2024年10月18日 金曜日放送)

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