山形県産の日本酒を含む「伝統的な酒造り」について、ユネスコの評価機関が「無形文化遺産」にふさわしいとする勧告を出し、近く登録される見通しとなった。山形県内の酒蔵からも喜びと期待の声が上がっている。

ユネスコ評価機関「登録ふさわしい」

「伝統的酒造り」とは、穀物を原料とする伝統的な「こうじ菌」を用いて、杜氏や蔵人などが長年、手作業の技として築き上げてきた「酒造りの技術」のことだ。

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文化庁によると11月5日、ユネスコの評価機関が「伝統的酒造り」を「無形文化遺産の登録にふさわしい」とする登録の事前審査結果を勧告した。

「無形文化遺産」は、世界の伝統的な音楽や舞踊・工芸技術などを保護する制度で、日本ではこれまでに能や歌舞伎・和食など22件が登録されている。

山形駅前にある県産の日本酒が試飲できるコーナーで話を聞いてみると、「ユネスコに認められたのはすごい。それぐらい価値があるのではないか」と話す人や、「土地に行ったらそれぞれの日本酒があるし、いろいろな楽しみようがある」と日本酒の良さを語る人もいた。

「国内だけでなく海外の人からも」

山形・河北町にある酒蔵「和田酒造」は、全国新酒鑑評会で何度も金賞を受賞してきた県内有数の酒蔵だ。

和田酒造の和田茂樹社長は、多くの酒造関係者と一緒に技術向上のための勉強会を開くなど、今回の無形文化遺産登録に向けた機運醸成に尽くしてきた。

和田社長は「知識もない時代から、先人たちがこうじ菌を使った酒造りをしてきて、微生物のなす技というのがすごく優れていると思っているので、そういったところで海外からも評価されているのでは」と話し、山形県内で酒造りに関わる多くの人たちにとって、「登録は大きな後押しになる」という。

「山形県の酒造りの業界にとっても、国内だけでなく海外の人からも日本酒の関心が高まり、酒を飲んでもらえる人がより増えるのではないかと思う」と、和田社長は期待に胸をふくらませているようだ。

「伝統的酒造り」のユネスコの無形文化遺産への登録は、12月2日から南米のパラグアイで開かれる会議で正式に決まる見通し。

文化庁によると、「無形文化遺産への登録で世界から注目されることが、日本酒にとって大きなメリットではないか」という。
伝統的な酒造りに多くの人の興味・関心が向くことで、食事の際に日本酒が選ばれる機会も今後増えるかもしれない。

（さくらんぼテレビ）

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