歌手でシンガー・ソングライターの石嶺聡子のデビュー30周年アニバーサリーライブ「Dramatic」が11月23日に那覇市の桜坂劇場で開かれる。19歳でデビューした石嶺の集大成となる今回のライブ。ロックやポップスを軸にしながら、近年ではダンスミュージックにも本格的に接近し、ダンスミュージック世界最大の配信サイト「Juno Downlord」では部門別チャートで1位を獲得するなど海外での評価も高い。デビューからの30年間を振り返ってもらいながら、今後の展望を聞いた。
ライブは「音楽の手渡しができる大切な時間」
デビューからの30年を振り返る石嶺聡子=11月4日、那覇市内―デビュー30年を振り返ってみて、いかがでしょうか?
私自身、長く歌っていたいと思いながらも実際に30年間も続けてこられたというのが本当に奇跡のようです。喉を痛めてお休みしていた期間もあるので、このように周年を迎えられるのは当たり前ではないなという思いがあります。これも、関わっていただいたスタッフや応援してくれるファンがいないと実現できないことなので、ありきたりな言葉にはなってしまいますが、感謝の気持ちでいっぱいです。
―今回のアニバーサリーライブはどのようなものになりそうですか?
30年ぶりぐらいに歌う曲もあります(笑)。ありがたいことに、私の曲は年を重ねても歌っていける色あせない曲も多いんですよね。詞の内容によっては、30代を迎えた時に歌うのが小恥ずかしくて敬遠していた曲もあったんですが、ここまで来て1周回ると、表現するのが何でも面白くなってくるんですよね。今回は、デビュー当時の曲から最新の曲まで、150曲近くある中から絞ってセットリストを組んでいます。ライブは、二度と同じものがない、生ものです。音楽の手渡しができる大切な時間だと感じています。
紅白出場曲『花』 喜納昌吉からの温かい言葉
―石嶺さんは、喜納昌吉さんのカバー曲『花』で1995年の紅白歌合戦に出場したことが人々に記憶されているかと思います。石嶺さんにとって『花』はどのような存在ですか?
当時、曲に合わせてビジュアルをつくっていくという方針があって、ドレスを着て歌っていたんですよ。なので、まだ10代なのに30代ぐらいに思われることもあって。私の世代の沖縄のアーティストは安室ちゃんとかがTシャツ着て歌っていて、良いなぁと思っていました(笑)。そんな当時の思いとのギャップはあるんですけど、歌は大好きです。5、6年前に喜納さんと初めてしっかりお話しできる機会がありました。その時に喜納さんに言われたのが「僕は『花』を出した後にすぐ世界ツアーに出たから、『花』を日本に広めてくれたのは石嶺さんだからね」という温かい言葉でした。
歌声を響かせる石嶺聡子=8月、東京都内(提供)海外を旅する、石嶺の歌声
-2017年にはイギリスの名門レーベル「Claremont56」からシティーポップ楽曲「NariyamaAyagu / Vibration」をリリースして完売、18年にはバレアリック・ミュージック(※)の最大レーベル「Music For Dreams」(デンマーク)と契約するなど、海外での活動も積極的に行っていますね。
※地中海のスペイン・イビサ島で生まれた音楽ジャンル。開放的で心落ち着く雰囲気を持つダンスミュージック。
海外で活動というよりは、歌声が海外に出ていっているという感じです。きっかけは、2017年に沖縄在住のプロデューサー・Mizukiさんと「Okinawa Delays Feat.Satoko Ishimine」というプロジェクトを始めたことでした。ずっとクラブミュージックをやりたかったんですよね。10代の時にジャクソン5とか体を揺らす音楽をよく聴いていて、ビートの効いた音楽に自分の声を合わせたらすごく面白いものができるのではないかと思っていました。海外で日本語の曲が評価されたことで「言葉が伝わらなくても響きが大事なんだな」と思えました。いろんな方から「バリで曲がかかっていたよ」「イタリアでかかっていたよ」と言ってもらえて「歌はリリースした時から私の手元を離れて、自ら人の心を旅していくんだな」と再認識しています。とても幸せなことです。
―改めて、ことしでデビュー30周年です。今後訪れるであろう35周年、40周年をどのようにイメージしていますか?
今が大事っていうふうに思うようになってきているので、先のことをイメージするのが苦手なんですが、ただ、言い切れるのは、私、今の自分の歌声が一番大好きなんですよ。なので、もしも5年後も10年後も声が続いているとしたら、その時も「今の自分の歌声が一番好きだな」って思える人生にしたいです。
石嶺聡子 30th Anniversary Live ~Dramatic~
日時:2024年11月23日(土)/開場16:30 開演17:00
会場:桜坂劇場ホールA
料金:前売4500円 当日5000円(全席指定)※入場時別途1ドリンクオーダー(500円)
チケット販売店:桜坂劇場窓口、各コンビニプレイガイドなど
詳細は桜坂劇場ウェブサイト
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