俳優として、2011年の「マイティ・ソー」でハリウッド映画初出演を果たし、今年、アメリカの優れた番組などに贈られる「エミー賞」で史上最多となる18部門を制覇したドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」にも出演している浅野忠信さん。
世界で活躍する浅野さんが、「R246 STORY ~224466~」以来、15年ぶりに監督を務めた映画「男と鳥」を含む、オムニバス映画「ミラーライアーフィルムズ・シーズン6」の先行上映イベントが秋田県秋田市で開催されました。
MIRRORLIAR FILMS (ミラーライアーフィルムズ)
「映画づくり」を通じて、クリエイターの発掘・育成や 地方創生に取り組むプロジェクト。発起人は俳優の山田孝之さん、阿部進之介さん、映画プロデューサーの伊藤主税さん。2020年に始動し、日本を代表する俳優・クリエイターらが 次々に参加している。
映画「男と鳥」 監督・脚本 浅野忠信
ゾンビ侍(田中一平)は神から、「この箱を5分後に届けなさい」と頼まれる。男が眠気をこらえながらも進んでいくと、そこへ箒に乗った鳥(阿部進之介)が現れる。箱に関心を示し、男を追いかけ回して奪おうとしてくる鳥だが、鳥がこじ開けようとしても箱は決して開かない。箱をめぐる摩訶不思議な物語。
全編「コマ撮り」で撮影された映画「男と鳥」は、どのように誕生し、そこで浅野監督がやりたかった事とは… 日本とハリウッドの両方の映画づくりを知る、浅野さんだからこそ語れる、「クリエイターの矜持」を聞きました。
Q:秋田のこれまでの印象と、実際に来て感じた印象は?
浅野:美味しいものがあったりとか、(秋田)美人な方が多いとか、いろんなイメージはあったんですけど、実際に秋田に来たときに、なんですかね… もちろん雪が降って寒いんですけど、なんか「妙な心地よさ」というか「あたたかさ」というか、そういうのを感じたんですよね…
「なまはげ」とかに対しても、いろんな勝手なイメージもあったんですけど、なんか怖いだけのイメージじゃないな っていうのが何となくわかって、「あたたかいな」という感じはありました。
Q:監督・脚本を務めた「男と鳥」。 登場人物のキャラクター、何か発想のきっかけはあったのでしょうか?
浅野:まず、どういう物語にしようかなと思って、男が出てきて、こういうことをして…みたいに書くんですけど、書いていた時に阿部さんと「SHOGUN 将軍」っていう作品で、カナダにいて、もし続編があったら、「ゾンビ侍」っていうのがいたら面白いよね… みたいな雑談をしていたんです。この作品とは関係なく…。
その後、映画に出てくる男を「ゾンビ侍」にしちゃおう…とか、短編映画を「コマ撮り」で撮影することを決めて、「ずっと飛んでいる存在」がいたら面白いので、それはやっぱり「鳥」かなとか… 単純なアレなんですけど、ロケ地が秋田で「なまはげも『ご出演』できそうです」っていう話も聞いていたので、神様は絶対になまはげで!とか…(注:実際に「男と鳥」に出演しているのは秋田・下浜地方の「やまはげ」) だから、本当に偶然が重なって、何かいろいろ試させてもらって…という流れです、はい。
Q:比較する話では もちろんないと思うのですが、エミー賞を獲得した「SHOGUN 将軍」という作品があって、「男と鳥」のような作品があって、後者は予算が限られていたり、時間も限られていたり、ビジネス規模の大きい方の仕事だけで満足する人はいると思うのですが、なぜチャレンジングなことをしようと思うのでしょうか?
浅野:まさに今 言った話だと思うんですけど、ある時に、「モンゴル」って映画を撮っていた時だと思うのですが、パッケージの話じゃないんですね。映画館で流すから映画… ってわけではない。 というのは砂漠のような街で、小さいインターネットカフェがあって、そこで子どもたちが集まって、一つの画面にかぶりついてダウンロードした映画を見ていたんですね。
この子たちが、こうやって「喜びを持って映画を見てる」ってことが一番重要だし、なんか…ここに届かないんだったら、映画じゃないな…と思ったんですね。
その時に、何か自分の中で「余計なタガ」が外れて… 作品が大きいからとか、小さいからとかじゃなくて、僕が「何かできそうだ」とか、「やってみたい」とかっていうことがあれば、そこには何か共通した「映画的な要素」は生み出せるんじゃないか…っていうのはありますけどね。
Q:今 タイパ(タイムパフォーマンス)だとか ドラマ等を「早送り」で観る人もいる時代ですが、作品の視聴動向に対する、自身の想いを伺ってもよろしいでしょうか?
浅野:なぜ「早送り」するかっていうと、まさにそうやって決められたルーティンの中で映画を作っているからだと思うんです。僕も2倍速で子どもたちが映画を見ているって聞いた時に、「だよね!」って、2倍速で映画を見ましたし・・・
なぜなら、僕を釘付けにする「何か」が、そこにはなくて、ただただ「内容を確認したいだけ」ってなっちゃっているわけですよね。でも、こっちがやっぱり心がけるべきは、「気づいたら見ちゃった」ってものを作らなきゃいけないから、そういう意味では「現場」で笑いが生まれていなければ、やっぱり「倍速」で見ちゃうと思うんですよ。
でもそれって、「現代的で面白いな」と思うし、だったら最初から倍速の映画を作っちゃえば良いし、もしくは、こうやって短編とかで どんどん映画を流すべきだと思うんで、(長編映画は)約2時間… っていうルールはね、なんか本当に 誰かが勝手に、いつの間にか作っちゃったものだから、それは本当にいらないな…と思いますけどね。
【担当:芸能情報ステーション】
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