ピアニストのフジコ・ヘミングさんには、難曲「ラ・カンパネラ」の演奏や、挫折を乗り越えた生き方に魅了されたファンが各地にいる。佐賀市のノリ漁師で、フジコさんに触発されて「ラ・カンパネラ」を独学で習得した徳永義昭さん（63）もそのひとり。2日に流れた訃報を受け、「今の自分があるのはフジコさんのおかげ。きょう、家のピアノでフジコさんのために『ラ・カンパネラ』を追悼演奏します」と語った。
徳永さんは、フジコさんがこの曲を弾く姿をテレビで偶然見て心を打たれ、52歳のときに独学でピアノを弾き始めた。
仕事のかたわら猛練習を重ね、難曲を弾きこなせるようになり、「奇跡のピアニスト」として知られるようになった。
「けさ、友達からラインやメッセージがたくさん来て、亡くなったことを知りました。腰が悪く、車いす生活をしているとは聞いていたが、まずびっくりして、だんだん悲しゅうなってきました」と徳永さん。「元気になって九州に来られたときに、またお会いしに行こうと思っていた矢先の訃報。もう会われんと思ったら、悲しゅうて。言葉にできん感情がこみ上げる」と悼んだ。（野上隆生）
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