東京都大田区の羽田空港第1ターミナルで8日から指されていた第82期名人戦七番勝負の第3局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、日本空港ビルデング協力)は9日午後5時43分、藤井聡太名人(21)が挑戦者の豊島将之九段(34)に95手で勝ち、3連勝で名人初防衛に王手をかけた。第4局は18、19の両日、大分県別府市の割烹(かっぽう)旅館もみやで指される。持ち時間各9時間のうち残り時間は藤井名人2時間11分、豊島九段38分。
1日目で攻撃態勢を整えて主導権を握った藤井名人は、封じ手で1六角と据えてから2筋の攻めを決行し、竜を作る成果を上げた。豊島九段は、攻めにも使えそうだった持ち駒の銀で3二銀打(56手目)と守りを補強する「根性の受け」(解説の阿部光瑠(こうる)七段)で徹底防戦し、簡単には倒れない強い意志を見せた。
しかし藤井名人は、封じ手で打った角を3八角(71手目)と引いて、逆サイドで自玉をにらんでいた飛車に狙いを転換。その飛車の捕獲に成功して反撃の種を断ち切り、万全の態勢で危なげなく逃げ切った。
阿部七段は「序盤は定跡通りに進んだが、豊島九段は1日目に指した4一玉(34手目)以降が想定と異なる進行になってペースを握られ、修正しようもなかったのだろう。藤井名人はよくなってからの指し回しが見事だった」と総括した。【丸山進、新土居仁昌】
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