海地獄を見物する藤井聡太名人(手前)と挑戦者の豊島将之九段=大分県別府市で2024年5月17日午後3時32分、金澤稔撮影

 大分県別府市の割烹(かっぽう)旅館もみやで始まった第82期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)第4局の1日目と2日目のおやつで、豊島将之九段(34)と藤井聡太名人(21)は「元祖 地獄蒸しプリン」(岡本屋旅館提供)を頼んだ。別府対局で提供されるメニューには、「地獄蒸したまごサンド」や「別府温泉地獄蒸し 自家焙煎スペシャルティアイスコーヒー」など、名前に「地獄蒸し」とつくものが散見される。

 別府市公式観光情報Webサイト「別府たび」によると、地獄蒸しとは温泉の蒸気を利用して食材を蒸す調理法や料理を指す言葉。地獄蒸しという名前のインパクトやヘルシーさなどが話題を呼び、別府の名物ともなっている。

 方法は、食材を釜に入れ蓋をして蒸すだけ。これにより旨味が凝縮され、いつもの蒸し料理とは違う味わいが楽しめるという。

 藤井名人と豊島九段が頼んだ地獄蒸しプリンを提供する岡本屋の若女将、岩瀬伸子さん(55)によると、苦みが効いたカラメルが特徴で、昔ながらの固めのプリンに仕上げている。「苦みと甘さの絶妙なバランスを楽しんでほしい」と話す。一つ一つ手作業で仕上げており、「地獄蒸し」で高温の噴気で蒸すためカスタードのまろやかさが一層際立つ。噴気には防腐効果も高い天然の硫黄成分が含まれているため、防腐剤は使用していないという。

 

 メニューは市や別府商工会議所などで作る対局の実行委員会が地元の飲食店から募集し選考した。勝負めしは18種類、スイーツは13種類、ドリンクは7種類。

 名前に「地獄蒸し」とつくのは、「地獄蒸したまごサンド」(岡本屋旅館)▽「別府温泉地獄蒸し 豊後牛ビーフシチュー」(滋味創菜 百膳の夢 本家)▽「元祖 地獄蒸しプリン」(岡本屋旅館)▽「別府温泉地獄蒸し 自家焙煎スペシャルティアイスコーヒー」(滋味創菜 百膳の夢 本家)――の4種類。他に「温泉蒸しプリン」(みょうばん湯の里)や、鉄輪の温泉蒸気で作った「黄金かぼすの地熱ビネガー」(鉄輪本舗)など、温泉地らしいユニークな名前が並んでいる。【池田美欧】

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