大分県別府市の割烹(かっぽう)旅館もみやで始まった第82期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)第4局2日目のおやつで、豊島将之九段(34)は「本わらび餅べろべろ『山崩し』」を注文した。将棋の駒の形で、将棋盤の上に詰んだ駒を崩す遊び「山崩し」をモチーフにしている。
考案したのは、将棋歴70年という老舗和菓子屋「茶郎本舗」(別府市)の元代表、渡部統さん(78)。店で提供しているのは四角いわらび餅だが、名人戦に合わせて角を切り落とし、駒の形に仕上げた。
「将棋を始めたばかりだった子どもの頃を思い出し、緊迫の対局の中でふっと笑ってもらえるように」との思いを込めた。
もう一つ気になるのは、「べろべろ」というインパクトの強いわらび餅の名前だ。その由来について、「食べれば分かる」と渡部さん。客から「(触感が)べろべろしている」と食べた感想を伝えられ、そのまま商品名にしたという。
渡部さんは地元の将棋会長として、子どもから大人まで参加できる「和菓子食べ放題将棋大会」や「湯けむり将棋大会」を開催するなど、将棋の普及にも尽力してきた。名人戦でわらび餅がおやつに選ばれ、「将棋ファンとして、これ以上嬉しいことはない。豊島九段にまずは1勝してもらえるように、応援したい」とエールを送った。【神内亜実】
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