「続日本100名城」に選ばれている兵庫県洲本市の洲本城を紹介するカードが作成された。城の写真や歴史などがコンパクトにまとめられ、同市の淡路文化史料館で販売されている。

 城を調査・研究している日本城郭協会(東京)が企画した。協会は学者や郷土史家らで構成され、2006年に日本100名城、17年に続日本100名城をそれぞれ選定している。

 協会は城を訪れた際の思い出にと同年から「城カード」を作成。縦約6センチ、横約9センチで、当初は日本100名城から順次始まったが人気が高く、今回は続日本100名城を対象に10城の城カードを作成。洲本城もラインアップに加わった。

 洲本市教委によると、洲本城は大阪湾に面した標高約133メートルの三熊山山上に位置する。

 城カードでは表に壮大な城の石垣を見渡せる空撮写真が掲載されている。裏面には、戦国時代の1526年に淡路水軍を率いた安宅氏によって築かれ、その後、秀吉家臣の脇坂安治が城主となった歴史などが記されている。

 城カードの販売は現地のみで350円。洲本城は2026年に築城500年を迎え、市教委の担当者は「ぜひ城を訪れた記念にしてほしい」と話している。(天野剛志)

天守はあった?出土瓦を展示

 淡路文化史料館では、昨年の洲本城跡の発掘調査で出土した瓦41点や解説パネルなどを並べた「調査成果速報展」が6月30日まで開かれている。

 5月18日には発掘調査の成果を報告する講座があり、館長の金田匡史さん(45)の説明に市民ら約40人が聴き入った。

 これまで洲本城に天守があったという資料は確認されていないが、昨年の調査では、天守台の近くから鬼瓦など多くの瓦が出土した。金田さんは「天守が建っていた可能性が極めて高くなった」と説明した。

 文字が書かれた文字瓦13枚も確認された。「城跡から文字瓦が見つかるのは珍しい」という。

 寺院に関係する文字が刻まれた瓦もあり、「三熊山に寺院関連の建物があった可能性もある」とした。

 文字瓦の中でも金田さんは「天正九年」と書かれた瓦に特に注目する。「天正9(1581)年11月、織田信長の命令で羽柴秀吉が淡路攻めをし、淡路島の国人衆は降伏した」と伝えられており、「洲本城の歴史を考えるうえで非常に貴重な資料」と語った。(森直由)

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