若者の方言離れがますます進んだ? 方言研究家で元岐阜放送アナウンサーの神田卓朗(たくお)さんが、岐阜県内の高校生らを対象に岐阜弁の認知度を調べたところ、代表的な50語のうち「意味が分からない」とされた言葉が半数以上に上った。30年近く前の同様の調査より増えており、神田さんは「地域の文化が消えてしまう」と危機感を訴える。【安達一正】
調査は2023年5~6月、岐阜市立岐阜商高の男女生徒55人にアンケート形式で尋ねた。神田さんは1997年に県立岐阜北高の40人に同じ調査をしており、当時のデータと比較した。
3分の2以上の生徒が「意味が分かる」と答えたのは、23年調査では「えらい」「だだくさ」「たわけ」など15語(30%)にとどまった。一方、「意味が分からない」のは「おそがい」「まわし」「勘考する」など27語(54%)で半数を超えた。
97年調査では「意味が分かる」は25語で全体の50%、「意味が分からない」は18語(36%)だった。意味が分かる言葉の割合と分からない割合が23年調査で逆転した形だ。
神田さんは調査結果について「限られたサンプル数だが、若者の方言離れ、岐阜弁の衰退傾向がはっきりした」と話す。メディアの影響で「共通語」が広がったことに加え、親世代から続く核家族化で「もはや大人も含め、祖父母などから方言を聞いた経験がなくなってきた」ことを要因に挙げる。
一方で、子どもたちの間にも根付いている言葉もある。23年調査で柳津小、藍川北中の岐阜市内2校の小中生152人にも50語の意味を尋ねたところ、6割以上が「意味が分からない」とされたが、「鍵をかう」「どべ」「ばりかく」などは「意味が分かる」だった。
神田さんは「学校生活に密着した言葉などは、今後も方言と意識されずに長く愛用される可能性がある」と指摘。方言を地域の文化として残すため、地元の高齢者や民話グループの協力を得るなどして、学校教育の場で方言を学習する機会を積極的に設けるよう提唱している。
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