岸田文雄首相は29日、米インド太平洋軍のパパロ司令官、中国共産党の劉建超中央対外連絡部(中連部)長と首相官邸で相次いで会談した。パパロ氏とは日米同盟のさらなる強化を確認。劉氏に対しては、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を受けた日本産水産物の禁輸措置撤廃を求めた。
パパロ氏は今月3日に司令官に就任し初の来日。4月の日米首脳会談で指揮統制枠組みの見直しを合意した在日米軍を傘下に置いており、パパロ氏は今後の日米協議のキーパーソンの一人となる。首相は就任に祝意を伝えるとともに、北朝鮮による軍事偵察衛星発射に言及しつつ「日米同盟の抑止力を向上すべく、よく連携していきたい」と述べた。
首相はそれに先立ち、劉氏と約25分間会談。「戦略的互恵関係」と「建設的かつ安定的な日中関係」の構築に触れ、「懸案について対話を重ね、協力分野で互恵的協力を加速していきたい」と述べた。
中連部長の来日は2018年10月以来5年7カ月ぶりで、劉氏は次期外相候補の一人と目されている。政党間交流の一環で来日した。
劉氏は上川陽子外相や、自民党の茂木敏充幹事長、公明党の山口那津男代表、立憲民主党の泉健太代表ら与野党幹部とも個別に会談。上川氏は日中間の外相の相互訪問実現を呼びかけ、劉氏は「早期に実現できると確信している」と応じた。外相相互訪問は、昨年11月の日中外相会談で、実施の検討で合意していた。米中間は高官レベルの対話再開が相次いでいる一方、日中間は出遅れており、対話のさらなる促進を望む声が出ている。【内田帆ノ佳】
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