自民党は31日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正の再修正案を各党に提示した。パーティー券購入者の公開基準額を「5万円超」に引き下げ、政策活動費の領収書などを10年後に公開する規定も盛り込んだ。いずれも公明党や日本維新の会の要求を受け入れた。再修正案は自民、公明、維新などの賛成多数で今国会で成立する見通しになった。
岸田文雄首相(自民総裁)は31日夜、「今国会で改正を実現しなければ政治への信頼回復はできない。こうした強い思いから自民として思い切った、踏み込んだ案を決断した」と首相官邸で記者団に語った。
首相はこれに先立つ同日午前、公明の山口那津男代表と首相官邸で会談し、現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げるとしていたパーティー券公開基準について、公明の主張を受け入れ「5万円超」に厳格化する意向を伝達。続けて国会内で維新の馬場伸幸代表と会談し、現状は使途の公開義務がない政策活動費の透明性向上に向け、維新の提案に沿って領収書を10年後に公開する方針を伝えた。馬場氏とは、国会議員に毎月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)について使途公開と残金返納を義務づける立法措置を講ずることでも合意した。
山口氏は会談後、記者団に「ギリギリの場面で首相の決断が示されたことを大事にしたい」と首相を称賛。「今後も連立政権を維持し、国民の信頼を取り戻してまいりたい」と語った。公明幹部は取材に対し、再修正案の採決で賛成する意向を明らかにした。
馬場氏は「我が党の考えが100%通った」「非常に大きな前進だ」と述べ、法案採決では「賛成する方向だ」と語った。
自公は、パーティー券公開基準の引き下げを、2026年1月の施行から1年後にすることでも合意した。再修正案には政策活動費の監査やパーティー券購入の上限額のあり方などについて検討を行う規定も盛り込む。
自民は両党首会談を経て、再修正案の概要を衆院政治改革特別委員会の理事懇談会に提示。自民提案に基づいて6月3日の特別委採決を石田真敏委員長(自民)がいったん職権で決めたが、その後自民が取り下げた。3日は改正案の質疑のみ実施する。自民は4日に特別委、本会議で採決し衆院を通過させたい考えだ。
自民は29日、政策活動費の支出記載を「月単位」にするなどした修正案を提示したが、公明や野党各党が不十分だとして反発。自民の議席は参院では単独過半数に達しておらず、公明や一部野党の賛同取り付けが課題だった。【野間口陽、源馬のぞみ、安部志帆子】
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