比較政治学が専門で権威主義体制の国に詳しい東島雅昌・東大社会科学研究所准教授が、選挙の実態を論じた寄稿が読まれています。〈5月15日配信「選挙“圧勝”を作る権謀術数 ひとごとで済まされぬ権威主義国の論理」〉

 東島さんは、権威主義体制では為政者の権力への執着が選挙の操作となって表れると指摘したうえで、暴力や脅迫といった露骨な介入から選挙制度などの巧妙な操作まで、様々な方法を詳述します。

 日本では、こうした選挙操作は観察されないとしつつも、政権与党に有利な選挙環境が完全になくなったとは言えないと主張。立候補や選挙運動のしにくさ、解散による選挙タイミングの操作を例に挙げ、「民主主義体制であっても、権力者たちは選挙に勝ち権力を維持したいし、そのために法の許す限りで、あらゆる手段を取るだろう」と言います。

 今年は選挙が国際的に注目を集める年です。3月のロシア大統領選ではプーチン氏が過去最高の得票率で当選を果たし、7月にはイギリスで総選挙が、11月には大注目の米大統領選が行われます。

 日本でも、4月の衆院3補選での自民全敗が注目を集め、7月7日には、3期目を目指す小池百合子氏に蓮舫氏らが挑む構図になりそうな東京都知事選があります。岸田文雄首相による衆院解散・総選挙の観測もくすぶります。

 国や地域の行方に大きな影響を与える選挙。主権者が政治家の戦略性を見抜く目を持つことの大切さとともに、そのための「材料」を提供するメディアの責任の重さを改めて思います。(吉田貴文)

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